「マジでグッドなバイブスでテンションぶちアゲ☆」というような環境から離れて久しい。しかし、いまここにはそんな感覚を取り戻すことができる映画がある。それはもちろん、『とんかつDJアゲ太郎』のこと。映画館へ行ってみるといい。そこでは老若男女を問わず誰もが参加できる、超ゴキゲンなパーティーが開かれている。 “とんかつ”も“フロア”もアゲられる男になるーーある日、主人公・アゲ太郎(北村匠海)はこう宣言する。なんとも不可解な宣言。しかしだ。“とんかつ”と“フロア”をアゲるというのは、一見して無関係なもののように思えるが、ときに私たちの中に生まれる“高揚感”の「揚」という文字は、“とんかつを揚げる”の「揚」と同じである。人の心を揚げるのも、とんかつを揚げるのも、そこにいる誰かを笑顔にするという点では同じなのかもしれない。そんなふうにして、渋谷の老舗とんかつ屋の三代目・アゲ太郎が、跡取りとして、そしてD