映画『罪の声』が上映中である。小栗旬、星野源という人気・実力共にある俳優2人が、それぞれ新聞記者、テーラーに扮し、昭和最大の未解決事件の謎を追うというだけでも興味をそそられる作品ではある。 だがなにより、塩田武士の緻密な取材をもとに圧倒的な説得力で紡ぎだした傑作長編小説に、ドラマ『MIU404』(TBS系)、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)を手掛けた野木亜紀子の脚本という要素が加わることによって起こった変化が興味深かった。また、小栗演じる阿久津の上司役に松重豊と古舘寛治、星野演じる曽根の妻役に市川実日子、人のいい板前役に橋本じゅんと、主演の星野もそうだが、野木作品お馴染みのメンバーが多く登場するのも嬉しい。 映画『罪の声』は、名もなき人々、社会から存在しないことにされてしまった人々に光を当てつつ、正反対の性質を持つ男性2人の絆を描いていた。これは、紛れもなく野木亜紀子の作家性を物語っ