「今年の取材はいつ頃になりますか? 対談の相手は…」 まだ企画の原型が定まっていなかった夏の初め、永瀬からかけられたこの一言でバラバラだったパズルの外殻が固まった。 近藤は渡辺を。 豊島は糸谷を。 藤井は広瀬を。 そして永瀬は羽生を。 どれも「必然」のごとく、ぴたりとピースがはまっていく。それぞれの指名理由にもぜひ注目してほしい。 節目の70期を迎えた昨期の王将戦七番勝負は渡辺明と永瀬拓矢の激突となった。 「一局でも多く渡辺王将に将棋を教えていただきたい」――。 七番勝負期間中、永瀬は何度も何度も、繰り返しこの言葉を口にした。勝負を、勝利を渇望し、喜怒哀楽を爆発させた。 7つの永世位を持つ羽生善治は、まもなく27度目の王将リーグの舞台に立つ。 盤を挟まずに相対す稀な機会に、その眼差しは柔らかく温かい。 勝負の世界に身を捧げ大舞台を渡り歩く永瀬拓矢をもってしても、「憧れの人」を前にただカチコ