最近、「こだわり」という言葉を誤用している人が多いことが気になる。 辞書を引いてみると、「気にしなくてもいいことを気にする」とか「細かいことにとらわれる」とある。語義を見る限り、どう考えても悪い意味の言葉だ。それが、最近、良い意味に使われることが多くなってきた。 「こだわる」ことは悪い事で、「こだわらない」ことは良い事だ。それがどうして反対になってしまったのだろう。 たとえば、「こだわりのそば屋」と言ったとき、どんなそば屋を想像するだろうか。「○○産の厳選されたそばの実を使い、それを石臼で丁寧に手で挽いて……」てな感じのものを想像するのは、皆同じだろう。ただ、その後、「やっぱり手間をかけたそばは味が違うねぇ」となるか、「材料にばかり時間をかけているけど、打ち方もゆで方もまるでなってない」になるか。本当は、後者の意味で使うのが正しい。 原義に従う限り、「こだわり」という言葉は、「気にしなくて