ベルファスト出身75歳のベテラン作家、バーナード・マクラヴァーティーが11年ぶりに発表した『Midwinter Break』。タイトルは「冬至の休暇」とも「(人生の)真冬の破局」とも読め、内容を簡潔に表わす。70代の夫婦、ステラとジェリーが旅に出る。子や孫にめぐまれたが、夫のジェリーはアルコール依存症、妻のステラは人生が無意味に終わる恐怖を抱いている。彼女は言う。「残された時間で何かやりたいの、あなたの飲酒を眺めているだけでなく」 舞台は旅先のアムステルダムのホテルとその周辺、期間は週末の数日間。狭く限定された空間で、なんとか妻に気づかれずに酒にありつこうと策を講ずる老人ジェリーの行動はユーモラスだが、まさにそのアルコール依存症が妻ステラの絶望の根っこにある。つめたい言い方をすれば、原因(ジェリー)と結果(ステラ)を異国のホテルに閉じこめてみた観察記ともいえる。 一見殺伐としたテーマだが、
デジタルプライバシーの記事一覧です。朝日新聞GLOBE+は、世界のいまを伝えるウェブメディアです。海外の現場を記者が歩き、徹底取材して書き上げた特集記事をお届けします。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く