■一週間で大きな方針転換組体操の規制をめぐって、ついに国が動き出した(2月5日「馳文科相、『組み体操』中止を検討」産経新聞)。 インターネット上で2014年5月に組体操事故問題に火が付いてから1年10ヶ月。文部科学省は静観の態度を貫き続け、さらにはつい先日の1月下旬の時点でも、「文科省としては独自調査や規制はしない」(1月29日『東京新聞』)ことを義家文科副大臣が表明したばかりであった。それだけに、突然の方針転換と言うことができる。 いったい何が、文科省に方針転換を決断させたのか。その背景に迫った。 ■「学校独自に判断すべき」から「文部科学省として取り組むべき」へ上述の「独自調査や規制はしない」という説明は、副大臣オリジナルの主張ではない。 前文部科学大臣である下村博文氏は在任時に、「それぞれの学校が独自に判断されること」[注1]と述べ、また現在の大臣である馳浩氏も「文部科学省が全て上から
先日、幻冬舎新書として、かつての1948年から1953年まで、実際に用いられた中学、高校教科書『民主主義』を、『民主主義 〈一九四八‐五三〉中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版』として復刊した。関連して、2つのエントリを書いた。 『民主主義 〈一九四八‐五三〉中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版』の現代における批評性(西田亮介)- Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryosukenishida/20160205-00054153/ 「民主主義の共通感覚」と『民主主義』--かつての中学、高校教科書『民主主義』復刊に寄せて(西田亮介)- Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryosukenishida/20160204-00054116/ この3本目のエントリで書いてみたいのは、現代の選挙教育教材と『民主
育児・教育ジャーナリストおおたとしまさ氏の『ルポ 塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎新書)を読んだ。硬い頭に釘を打ち込まれたような、腐った魂を蹴り上げられたような衝撃をうけ、いてもたってもいられず、キーボードを叩いている自分がいる。「塾歴」は、2016年度の教育をめぐる論争のキーワードであり、この本は炎の導火線だと確信した。 本書は、教育社会学で言う「タテの学歴」である「最終学歴(つまり、高卒か大卒か院卒かなど)」、「ヨコの学歴」である「学校名(東大卒、早稲田卒など)」とは違う、「塾歴」なる概念を提示している。開成、筑駒、灘、麻布などの名門進学校における受験で「サピックス小学部」が圧倒的なシェアを誇っていること(例えば、筑駒においては7割強がサピックス出身)、さらには東大理3の合格者の6割強を「鉄緑会」(名門校の合格者だけに入学資格がある塾)が輩
ちょっと前のことになりますが、人事系のビジネスパーソンが集まる、ある会合で、下記のような質問を受けました。 「最近、いい学生が採用できなくて困っています。わたしどもの業界には人手がまったく足りていないのです。どんなに採用活動に投資しても、いい人がとれません。先生の目からみて、最近の大学生は、どのように変化しているのでしょうか? 最近の特徴はありますか?」 この類の質問は、よくいただくことがあるのですが、真摯に考えようとしますと、なかなか答えることが難しい問いのひとつです。 そもそも「最近」といっても、何を比較対象として「最近」を照射するのか。また「大学生」といっても、どういう大学にいる、どういう大学生をさして、答えればよいのか、必ずしも自明ではないからです。 しかし、さすがに時間が差し迫っていることもあり、これらの焦点を絞る一連の問いかけを行うわけにもいかず、一方、「わかりません」とシャッ
芸能界に対する不信感 1月18日に生放送の番組でおこなわれたSMAPの謝罪会見は、その後もかなりの波紋を呼んでいます。テレビの情報番組やニュースでは好意的に報じられましたが、視聴者やファンの間では「公開処刑」とも評されているように、マスコミとネットの温度差は大きく異なる状況が続いています。 こうしたネットの反応が生じるのは、ジャニーズ事務所の強権的な姿勢がかなり周知されていたからでしょう(このことについては、2日前の「存続するジャニーズ、民主化しないジャニーズ」という記事で詳述したとおりです)。 そもそもこの問題の根幹には、自由に芸能プロダクションを移籍できない、日本の芸能界独特の商慣習があります。つまり、もしSMAPメンバー4人が独立したり他の事務所に移ったりすれば、干されるリスクがあるということです。 過去にも実際そういう事例は見られました。現在生じている視聴者やネットの反応は、こうし
英国のPMQ(Prime Minister’s Question Time)が面白くなってきた。英国議会では、毎週水曜日正午から30分間、首相VS野党第一党の党首、その他の各党議員との質疑応答の時間がある。BBC2が毎週生中継で放送しており、世論への影響力の大きい番組だ。 このPMQは、政治家というより天才パフォーマーだったトニー・ブレア首相の時代が面白かった。が、彼がいなくなってから、はっきり言って退屈になっていた。 しかし、新労働党党首のジェレミー・コービンが再びこのPMQを面白くしている。 彼は、「PMQは芝居がかった見世物的イベントになり、質問する側も答える側も本気で政策について話し合っていない。僕はこれを根本から変えたい」と発言し、野党第一党の党首として初登壇した日は、一般の人々からネットで募集した質問を読み上げるいう前代未聞のことを行った。 この奇襲作戦は「新鮮だ」と評価された
戦争や紛争とまでいかなくとも、例えば地べたレベルの喧嘩でも、普通は敵の欲しがるものは与えないのが戦いの鉄則だ。が、どうも対IS戦に限ってはこの鉄則が完全に無視されている。 ローマ教皇はテロを第三次世界大戦の一部だと言い、英国のキャメロン首相はISをヒトラーやナチに例える発言をしている。いくら何でも極端というか、「もっとパンチの利いたタイトルをください」と言われたライターが苦渋の末に思いついたような言葉を教皇や政治指導者まで使わなくとも。と思うが、ISに人質として捉えられ、彼らと共に過ごしたことのあるフランス人ジャーナリストによれば、こうした反応こそがISの大好物だという。彼はこう書いている。 ネット上のニュースやソーシャル・メディアを追い、今回のパリ襲撃後に書かれている様々の反応を見て、彼らはおそらく今「我々は勝利している!」と大声で連呼しているだろう。彼らは、すべての過剰反応、分裂、恐怖
電車内の痴漢被害。被害に遭っても、「恥ずかしい」「大事にしたくない」「犯人がわからない」といった理由から警察に届け出ない被害者は少なくない。警察庁がまとめた「電車内の痴漢撲滅に向けた取組みに関する報告書」(2011年)によれば、「痴漢被害に遭っても警察に通報・相談していない」と答えた人は304人中、271人(89.1%)。10人に9人が通報や相談を行なっていない計算になる。 犯人を捕まるのは怖いし、恥ずかしい。「やめてください」と声をあげても逆ギレされるかもしれない。痴漢されてから声をあげるのではなく、痴漢行為を未然に防ぎたい。そんな思いから、高校2年生の女子が母と一緒に痴漢抑止バッジを考案した。バッジをつけて通学するようになってから、それまで毎日のようにあった痴漢被害がぴたりと止まったという。今、この痴漢抑止バッジの普及をプロジェクト化する動きが始まろうとしている。 ■「どうしたら狙われ
■親が「基盤」になれない アンダークラス(下級階層)の支援者(ソーシャルワーカー・カウンセラー・教員)をスーパーバイズしていると、絶望的な壁にぶつかることが多い。ミドルクラス(中流階層)であれば大戦力になる基本資源がアンダークラスには欠けていることが多いからだ。 その大戦力とは、なんのことはない、「親」だ。 ミドルクラスの代表問題であるひきこもりやニートの問題であると、当事者が30才(30なかばがひきこもりの中核)だろうが40才前半だろうが、まず支援する対象は親になる。 ひきこもって支援施設につながらない当事者にはまずその親に面談し、親と関係性を構築し、親と「共闘」していき、ともにひきこもり脱出の作戦を練る。 それはなかなか粘りが必要な作業ではあるが、この基本資源(親)がこちらの要望を理解して動いてくれると、なんらかのひきこもり脱出の動きに繋がる(親と支援者が対立したとしても、そのネガティ
大きなトラブルとなった五輪のロゴ類似問題。素人目にはそっくりになロゴに対し、審査員をはじめ多くのデザイナー達が「まったく違う」と反論していたのが印象的でした。しかし、不透明かつ説明不足の審査委員会もあいまって、残念ながらこれらの発言は身内を守るものと解釈されてしまいました。また画像の盗用問題により、本来なら行われるべきだった、冷静な議論などは完全に失われてしまいました。 なぜデザイナーと世間において、これほど大きな認識の違いが生まれたのでしょうか?本稿では、デザイナーと世間の間にある「類似性のギャップ」に関しできる限りわかりやすく説明します。最大公約数的な意見としては、このような感じではないかと思います。 全体の構成としては、まず類似性は鑑賞者の文化背景に依存することを説明します。その上で、前提知識として、デザインの本質や、文字を用いたデザインの類似性についての基礎知識を解説します。その後
KNNポール神田です! 最初に断っておきたいが、ボクはAmazonが大好きだからこそあえて苦言を呈したい。以前にもAmazonの混在在庫について指摘してきた。こちらはかなり改善されてきたように感じる。しかし、力学関係でセラーがAmazonに対して強く言えない状況はどこまで改善されたかは伺いしれない。そして、今回自分自身で経験し、怒りを覚えたAmazonプライムの解約時の注意点は指摘しなければならないと思った…。 Amazonプライムをキャンセルしようとすると…2015年9月下旬Amazonプライムでは、新サービスのAmazonプライムビデオが開始となるので、辞める人は少ないだろう。しかし、年会費3900円の翌日配送のメリットをあまり享受できなかったので、2014年7月31日〜2015年7月31日までの間に一度解約しようと思い、7月21日に解約を申し込んだ。 Amazonプライムについて h
文部科学省が8月21日に発表した「妊娠のしやすさと年齢の関係や、不妊に関する内容」を盛り込んだ高校生向け保健教育の副教材ですが、使用されているグラフと元論文のグラフに大きなズレがあることが分かりました 文科省:妊娠しやすさと年齢、副教材に 高校生向けに作製 - 毎日新聞 文科省副教材「22歳をピークに女性の妊娠のしやすさが低下」のグラフは正しいか? - Togetterまとめ 問題のグラフは以下のリンクから確認できます。 安心して子供を産み育てられる 社会に向けて(※PDF) グラフは、22歳をピークにして「女性の妊娠のしやすさ」が低下するとしたものです。 25歳から急激に傾きが大きくなるグラフしかし、元データとされている論文を見ると、グラフの傾きや数字が異なることが分かります。 文科省のグラフに比べると25歳からの傾きはゆるやか元データの論文は以下のリンクから確認できます。 Declin
【GoHooトピックス7月22日】安全保障関連法案の合憲性をめぐり、朝日新聞は7月11日付朝刊1面で「憲法学者122人回答 『違憲』104人『合憲』2人」と見出しをつけ、独自に実施した憲法学者へのアンケートの結果を報じた。回答者の大半が安保法案について違憲か違憲の可能性があると答えたことを中心に伝えていたが、「自衛隊の存在は憲法違反か」という問いに回答者の6割超の77人が違憲もしくは違憲の可能性があると回答したことを紙面版記事に載せていなかったことが、わかった。日本報道検証機構は先週、朝日新聞社に対し、紙面版記事で一部の結果を伝えなかった理由について質問したが、22日までに回答は得られていない。(追記あり、文末参照) 朝日新聞7月11日付朝刊1面朝日新聞は6月下旬、「憲法判例百選」(有斐閣)に執筆した憲法学者209人(故人を除く)にアンケートを実施し、122人から回答を得た。日本報道検証機
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