もふもふのウサギや「ぴよぴよ鳳凰」など、徳川家光のゆるカワな絵で人気を集めている「へそまがり日本美術」展(@東京・府中市美術館)。決してきれいとは言えないもの、完璧ではないものになぜか心惹かれる「へそまがりの感性」に注目して日本美術史を捉え直す、その新しい視点で脚光を浴びている展覧会ですが、じつは、その原点には、一冊の本がありました。 〈ヘタウマ〉美術史ならぬ、おとぼけ美術史 「へそまがり日本美術」展の原点となったのは、『日本おとぼけ絵画史』。「へそまがり日本美術」展の担当学芸員である府中市美術館の金子信久先生が、「たのしい日本美術」シリーズの一冊として刊行したもので、金子先生は「『日本おとぼけ絵画史』はへそ展(「へそまがり日本美術」展の略称)の原点。この本をベースに、展覧会として組み立て直したのが今回の展覧会です」と話します。そもそもの始まりは、〈ヘタウマ〉をテーマにした日本美術の本、と