東芝は14日、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO、63歳)が同日付で辞任し、後任に前社長の綱川智会長(65)が就任する人事を発表した。「物言う株主」との関係が悪化し、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズによる買収提案で社内が混乱する中、経営陣の刷新を迫られた。3人の識者に今回の「辞任劇」について聞いた。 ファイブスター投信投資顧問・大木昌光氏 車谷暢昭氏の社長辞任は、「自己保身」に走った経営者を排除するコーポレートガバナンス(企業統治)が働いたとの見方もあるが、それは違う。むしろ日本で推し進められている企業統治がいかに形式的で、実質的な経営から外れたものであるかを浮き彫りにした。 そもそも東芝の経営陣は本業に詳しくない取締役が多数を占める。看板だったフラッシュメモリー事業の分離や原子力事業の縮小をしたにもかかわらず、経営の監督を担う取締役会でどう業績を伸ばしていくか専門的な議論