ウリチパン郡が2008年に発表したアルバム『ジャイアント・クラブ』は、いまも色褪せることのない2000年代屈指の名盤である。打ち込みのトラックと生バンドのセッションとの相互作用によって生まれた独創的なアンサンブルを軸に、ポップなメロディーやカラフルな電子音、扇動的なアフロビートが折り重なり、さらにはドラムのマイキングだけで数か月もかけたという徹底的な音質へのこだわりも加わって、国境も時代も関係ない、唯一無二の作品に結実。アニマル・コレクティヴやヴァンパイア・ウィークエンドなど当時隆盛を誇ったブルックリン勢とも時代感を共有しつつ、その中にあっても特別な存在感を放っていたように思う。 そんなウリチパン郡が2010年に活動を休止した後、2人のユニットとして活動を続けてきたオオルタイチとYTAMOが、〈ゆうき〉として初のアルバム『あたえられたもの』を完成させた。日本語の歌を軸に、アコースティックな