「健康は自己責任」との傲慢を感じる。科学技術の恩恵を受けられない人間がいることも、貧困と疾病の関係も考慮されていない。「辛い老いでも、安心して支えられる社会をつくる」ことが本来の課題ではないか。 大坂なおみが8月27日にしたことは、ごく「普通」のことだ。 何世紀もの間、非人間的な扱いや警察の残虐行為、社会的不公正や不平等、そして構造的人種差別に反対の声を上げてきた多くのアフリカ系アメリカ人と同じように、声を上げただけだ。何ら特別なことではない。黒人のアスリートという立場にしても同じだ。 無論、今年だけでも3750万ドル(約40億円)の収入があり、世界の一流企業がスポンサーにつく世界で最も稼ぐ女性アスリートの1人でもある彼女の声は、大陸をまたがって響きわたるくらいの大きな影響をもつ。一般の人と比べれば、その声は相当奥深くまで轟き、より多くの人の心を捉える。しかし、それでも、彼女の声は何千万も