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ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)作者: 梅田望夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/11/06メディア: 新書あまり人に強く本を勧めることはしないが、何か一冊、と言われたら僕より若い奴にはたいていこの本を推してる。この本に限っては、自分のためというよりも読んでくれる後輩達に伝えたいことが多く、長めの引用が増えたかな。P86 「良き「志向性の共同体」作りに多くの人がリーダーシップを発揮するようになれば、無数の営みの中から、「一日五分の善意や小さな努力」を持ち寄る参加者を世界中から惹き付ける想像的コミュニティも現れるのではなかろうか。」P90 「時間だけがすべての人に平等に与えられたリソースである。その時間を、自らの志向性と波長の合う領域に惜しみなくつぎ込む。それが個を輝かせる。大切な時間というリソースを自分らしくどう使うのか。そこがこれからはま
(1) 時代観――無限の選択肢のある時代 僕が大学を出たのは今から25年前の1983年です。1983年に大学を卒業する人と、2008年に大学を卒業する人とでは、全く違う人生が広がります。おそらく、さらに25年後に大学を卒業する、みなさんの息子や娘の世代も、まったく違う環境のなかに生きることになります。みなさんは、だいたい二十代、つまり1977年生まれから87年生まれくらいだと思いますが、そのくらいの時期に生まれたということが、人生を大きく規定しています。そのときに使えるリソース、その時点で可能になっていることがある。1960年生まれの僕とは全く違う可能性をみなさんはもっています。それがまず第一にうらやましい。なぜならば、圧倒的に自由度が大きいから。1980年代の前半というのは、それほどカジュアルに海外に行くという時代ではなかったし、日本はもっと貧しかったし、海外に留学する敷居の高さも、今と
さていよいよ最終回である。 私自身の核は「生活こそが作品」という意識である。他者とは絶対に違う「時間の流れ」を追い求め、誰もやったことのない「人体実験」を繰り返し、「作品」である生活を磨いていくのが私の流儀。そして「次の十年」の大テーマは「場所にいっさい縛られない自由」の徹底追求と「時間の凝縮」への挑戦である。そんなことを前号では述べた。 飛行機に乗って日本に近づくにつれて、日本が遠ざかっていく。最近そんなことをよく思う。場所と時間についての感覚が揺らぎ、新しい時代に適応する過程にあるのかもしれない。 「人体実験」の一つとして、シリコンバレーでは「ネットに住む」ように暮らしているが、膨大な情報空間に身を置いて考え事をする時間を長くとれば、日本で何が起きているのかもリアルタイムで把握できる。 一方、日本に着けば、飛行機を降りた瞬間から、分刻みのスケジュールで人に会い続ける、リアル中心
「中央公論」編集部の田中正敏さんからメールが届いた。「『ウェブ時代をゆく』を語る」をまとめてくださった田中さんである。 「グーグルに淘汰されない知的生産術」ですが、『読売新聞』書評同様、もしよろしければ販売期間終了後(5月9日)を目処にブログにて公開していただいても、と思います。非常に充実したお話でしたので、より多くの方の目に触れればと思う次第です。 ありがたい申し出をいただいたので、ここに全文を公開することにします。 「中央公論」五月号の「特集・知的整理法革命」(野口悠紀雄、梅田望夫、外山滋比古、佐藤優、勝間和代、茂木健一郎)という文脈で、田中さんの取材を受け、勉強や仕事の仕方について僕が二時間ほど話をした内容をもとに、彼が文章にまとめてくれたものです。 さすがにこのテーマだとほぼすべての人が、それぞれの観点からグーグルを論じていて面白かったです。 どうぞお楽しみください。 旧来の整理法
本連載10月6日「ソフトウェアエンジニアのオープンソースへの相反する感情」について、「Matzにっき」(Rubyの作者で有名な、まつもとさん)から、大変貴重なトラックバックをいただき、その内容についてさらに「Matzにっき」上で議論がなされて、「筆者(梅田)がどういう意図で、どんな読者を想定してこの文章を書いたのかよくわからんが・・・・」みたいなことが書かれていたので、この連載全体の意図も含めて、若干補足しておきたいと思う。 議論の内容をここで要約すると、それがまた恣意的だと感じる読者もいらっしゃるだろうから、その内容は「Matzにっき」でお読みください。 変化の方向性と対応策を考えつづけたい この文章に限らず、本連載で僕が強い関心を抱いて考え続けているのは、(1)産業構造<社会構造も含め>がこの先どう変わっていくのかということと、(2)その変化の潮流を感知したときに我々はどういう生き方が
第二回はグーグル創業者、ラリー・ページのこの言葉。 Even when we started Google, we thought, "Oh, we might fail," and we almost didn't do it. The reason we started is that Stanford said, "You guys can come back and finish your Ph.D.s if you don't succeed." Probably that one decision caused Google to be created. (僕たちがグーグルを始めたときでさえ、「ああ、失敗するかもなあ」と思った。ほとんどやめようと思ったときもあった。僕たちがグーグルを始めたのは「君たち、成功しなかったら、戻ってきて、博士課程を終えたらいいじゃないか」とスタンフォ
2008年05月08日00:00 カテゴリ書評/画評/品評Art 無限な世界、有限な自分 - 書評 - 私塾のすすめ 筑摩書房より献本御礼。 私塾のすすめ 斎藤孝 / 梅田望夫 初出2008.05.03; 販売開始まで更新 まずはさておき、斎藤孝、梅田望夫の両著者に伝えておきたい。 ありがとう、と。 本書「私塾のすすめ」は、齋藤孝と梅田望夫という、1960年生まれの二人の「私塾長」による対談。なぜ生年まで書いたか、と言えば、それが本書に決定的な意味があるからだ。あと2年弱で四十歳になる。梅田が著者として名を連ねている本の中ではもっとも「あちらがわ」語が少なく、しかし1969年生まれの私にとっては最も腑に落ちた一冊である。 目次 - 新著「私塾のすすめ」5月8日刊行 - My Life Between Silicon Valley and Japanより 第1章 志向性の共同体 明治と現代
「五年以内に十二カ月から十八カ月の『サバティカル』を絶対にとる」 と一年三カ月前に書いた。サバティカルとは「研究のための長期休暇」の意味だが、この四月より、まずは「モノを書くこと」に関するサバティカルに入ることにした。本業の経営コンサルティングの一環で書く仕事を除き、本の執筆や雑誌への寄稿をしばらくすべて休止する。 足掛け十三年にわたって休むことなく続けてきた本連載も、今号と次号で終了する。連載開始時には三十五歳だった私も四十七歳になった。人生でいちばん大切な期間を本誌とともに過ごしたという思いが強く、本連載には深い愛着を持って取り組んできた。しかし、もっとも大切なことをやめないと新しい展開は拓けない。そんな私の決意を、本誌編集部にご理解いただけたことを感謝している。 仕事の何から何までをすべてやめる「サバティカル理想主義」を追求すると、永久にサバティカルなど取れまいとあるとき悟り、
梅田さんについて書かれた有名なブログ記事に「梅田望夫さんが見ている、どこか遠い世界」というのがある。率直に気取ることなく綴られていて、多くの人間の共感を集めたらしい。梅田さんも、この記事のことは気になっているようで、何かの講演(だと思う)で言及している。そして、「ウェブ時代をゆく」は、(梅田さん本人を含めての)「Rest of us」を対象にして書いたのだとも話していた。 この「ウェブ時代5つの定理」は、バリバリの企業経営陣の言葉が中心なので、率直な感じ方としては、普通の人間には「遠い世界の話」となってしまうのかもしれない。私も勿論そういう普通の人の一人である。しかし、ウェブの世界で働こうとする人間向け限定ということではない。ウェブの最先端で活躍する人物が、どういう「思想」や「パーソナリティ」の持ち主なのかを知るための貴重な資料という読み方も可能だろう。 グーグル的世界観についての感想につ
■「流れ」と「未来」見通す能力 第3定理は「技術者の眼(め)」である。21世紀のビジネスは、科学と技術を抜きにして考えることはできない。これまでに述べたアントレプレナーシップとチーム力を、その根底で突き動かしているのが「技術者の眼」だ。 シリコンバレーの中核には、科学や技術を愛する人たち独特の価値観が深く根付いている。起業家やエンジニアばかりでなく、経営者、投資家や金融機関にまで、文系的な管理者的な論理とは全く異なる精神が貫徹されている。 特に2つのことが重要である。1つが西海岸特有のカウンターカルチャー(伝統的・支配的な文化に対抗する文化)から強い影響を受けた思想である。もう1つが「大きな技術の流れに逆らっては絶対にダメだ」という考え方である。 ≪カウンターカルチャーは中央集権化された権力に軽蔑(けいべつ)心を示し、まさにそれが、リーダー不在のインターネットの世界だけでなく、PC(パソコ
≪Aクラスの人はAクラスの人と一緒に仕事をしたがる。Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる≫ この言葉をシリコンバレーでは格言としてよく耳にする。Aクラスの人は、自分を向上させたいと常に思っているから、自分より優れた人と一緒に働きたいと考えるが、Bクラスの人は実力に不安があるから自分よりも劣った人を採用してしまう、という意味である。チーム編成においてはAクラスの連鎖を作るべし。イノベーションを生むには、選りすぐりのチームを組成するところから始めなければならないという経験則が、この言葉の背後にある。 日本のビジネス社会では、「チームワーク」という概念に「優秀な個」という前提が自動的には含まれていない。「メンバーの痛みを理解できる」「困っている他のメンバーを助ける」といった相互扶助の概念と紙一重になりがちだ。「守りの仕事」ならばそれでいいが、そのチーム発想からは「攻めの仕事」における爆発的な
ではいったいなぜ、この地に「アントレプレナーシップ」がみなぎるのだろうか。 ≪シリコンバレーの存在理由は「世界を変える」こと。「世界を良い方向へ変える」ことだ。そしてそれをやり遂げれば、経済的にも信じられないほどの成功が手にできる≫ これはアップル創業者兼CEO(最高経営責任者)のスティーブ・ジョブズの言葉である。 シリコンバレーのリーダーたちは「世界をより良き場所に」(make the world a better place)という気宇壮大な言葉をカジュアルに使う。新しいテクノロジーをより多くの人が利用することで、「より良き社会」を生み出せるという信念が根底にある。 自分たちの努力で未来を「より良き場所」にしよう。そしてその進展に寄与する大事を成し遂げれば、経済的にも信じられない成功を伴ってよい。「善意で世の中をよくしよう」でも、「己の欲のために働こう」でもないこの独特の論理によって、
それにしても胸を衝く言葉が次々と飛び出す。つくづくそう感じたのが,昨年末に掲載した梅田望夫氏とまつもとゆきひろ氏の対談だった。対談は読者から大きな反響をいただき,両氏のご厚意をいただき第2弾も行われた。間もなくお届けできる見込みであり,ご期待いただきたい。 それにしてもなぜこのような心を揺さぶる言葉を発することができるのだろう。自分も文章をなりわいとしているが,喚起するものがあまりに違う。記者は事実を,客観的に伝えることがよしとされている。そのためだろうかと考えたりもした。 しかしある本を読み,思い至った。梅田氏やまつもと氏の言葉が我々をはっとさせるのは,彼らが表現の技巧や修飾に長けているためではない。彼らも,彼らに見える世界をありのままに描写して言葉にしているのだ。ただ,その目に映る世界が我々の見ているものと異なるのだと。 ある本とは梅田望夫氏の「ウェブ時代5つの定理」だ。梅田氏が未来を
2008年02月29日00:00 カテゴリ書評/画評/品評Art 編者梅田望夫 - 書評 - ウェブ時代 5つの定理 文藝春秋出版局経由で著者より献本御礼。 ウェブ時代 5つの定理 梅田望夫 初出2008.02.27; 発売開始まで更新;リンク集追加 「ウェブ時代 5つの定理」いよいよ発売です - My Life Between Silicon Valley and Japan 文藝春秋|梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」 文藝春秋|梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」|ビジョナリーたちの名言リンク集 タイトルに書いた通り、梅田望夫・著というより梅田望夫・編という一冊。 本書「ウェブ時代 5つの定理」は、シリコン・ヴァレーの言葉を集めてそのまま載せ、それを梅田望夫が解説したもの。その点において、著者個人を全面に出した「ウェブ時代をゆく」の対照にある。同書では著者自身をなるべくそのまま掲載
2024年8月16日(金) 環境フォト・コンテスト / プレジデント「第31回 環境フォト・コンテスト2025」へのご応募、ありがとうございました! 2024年1月15日(月) 環境フォト・コンテスト / プレジデント「第30回 環境フォト・コンテスト2024」入賞作品を発表! 2023年1月13日(金) プレジデント / 環境フォト・コンテスト「第29回 環境フォト・コンテスト2023」入賞作品を発表! 2022年1月14日(金) 環境フォト・コンテスト / プレジデント「第28回 環境フォト・コンテスト2022」入賞作品を発表! 2021年2月8日(月) プレジデント読者のみなさまへお知らせ 2021年2月8日 2021年1月8日(金) 環境フォト・コンテスト / プレジデント「第27回 環境フォト・コンテスト2021」入賞作品を発表! 2020年1月10日(金) 環境フォト・コンテス
書店によって少し違いはありますが、「ウェブ時代 5つの定理」が明日(27日)または明後日(28日)から店頭に並びます。 ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く! 作者: 梅田望夫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/03/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 29人 クリック: 4,720回この商品を含むブログ (422件) を見る刊行を記念して「5つの定理」(アントレプレナーシップ、チーム力、技術者の眼、グーグリネス、大人の流儀)のそれぞれのエッセンスを短い文章にまとめました。短期集中連載として、明日(27日)から5日間、産経新聞朝刊一面に掲載される予定です。どうぞお楽しみに。 そして刊行とほぼ同時に、文藝春秋特設サイトに、本書で取り上げた「ビジョナリーたちの名言」へのリンク集を公開する予定です。 また、3月15日(土)午後2時から八重洲ブックセンターで「講演
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