ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手のフェースブックが怒っている。なぜか。10月1日にアメリカで公開された映画『ソーシャル・ネットワーク』が、同社誕生の経緯を好き勝手にねじ曲げているからだ。 まあ、ご立腹はもっともだ。それでも私は、この映画を面白いと思う。確かに物語のほとんどはフィクションだが、今のシリコンバレーに蔓延する「一獲千金」願望と、それで成功してきた人たち(フェースブックの創業者で26歳のマーク・ザッカーバーグもその1人)について、かなりの真実を伝えているからだ。 かつてのシリコンバレーをリードしていたのは、物理学博士で集積回路の発明に携わり、インテル設立に参加したロバート・ノイスのような科学者やエンジニアだった。当時のシリコンバレーでは誰もが物理学や電子工学といったハードな科学に取り組み、モノづくりに励んでいた。だからこそ半導体(シリコンバレーという名の由来だ