2021年3月4日、NPO法人POSSEと総合サポートユニオンとは共同で記者会見を開いた。目的は、サプライチェーンで起きた外国人技能実習生への「強制帰国」という深刻な人権侵害について、スターバックス(以下、スタバ)の社会的責任を問うためだ。 POSSEの記者会見の様子。 記者会見には、スタバのサンドイッチをつくる食品製造会社で働き、2016年に「強制帰国」をさせられた元技能実習生たち(写真右側の画面、オンラインにて参加)とその企業で彼女らの通訳を担当していた労働者(写真中央)が出席した。そして、その周りにはプラカードをもった多くのZ世代(1990年代中盤以降に生まれた世代)の学生など若者たちの姿があった。 最近では何かと注目されることの多い「Z世代」だが、彼ら世代は人権問題への取り組みでも世界的に台頭している。本記事では、技能実習生とスタバの問題に取り組む若いZ世代に焦点をあて、なぜ彼ら彼
抗議デモに参加した男性が警官に射殺された現場で、花を手向ける女性=1日、ヤンゴン(写真:ロイター/アフロ) クーデターに対する抗議デモがやまないミャンマーで、国軍は武力による取り締まりを2月28日以降、エスカレートさせている。3月3日、第2の都市マンダレーで、19歳のテコンドー教師、マチャルシンさんが頭部を撃ち抜かれ死亡し、ヤンゴンでは国際空港近くの地区で10人が射殺された。内政不干渉を原則とする東南アジア諸国連合(AESAN)さえもが「懸念を表明」する議長声明を発表し、国内外で孤立する国軍の焦りが透けて見えるが、このままでは若者を中心に犠牲者数が増大する可能性が高い。 3日朝に射殺されたマチャルシンさん(フェイスブックより筆者作成) 「国連がアクションを起こすにはどれほどの数の遺体が必要なのか」。2月下旬、ヤンゴンの国連事務所前でプラカードを掲げていた23 歳のエンジニア、ニーニーアウン
タレントとしても活躍した立憲民主党の塩村文夏参議院議員(42)は10日、自身のツイッターを更新。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言に抗議して野党の女性国会議員が白い服で登院したことに関する舛添要一前東京都知事(72)のSNS投稿に強い不快感を示した。 【写真】白い上着で森会長の女性蔑視発言に抗議する女性議員 「(これまで舛添都政を評価してきた私ですが)言わせてください。『五輪の利権構造問題』があるから、女性差別に抗議をしてはいけないというのですか」とつづったほか、自身が都議だった時の舛添前知事の言動を思い起こし、「貴方は私のセクハラやじの時、涙声で質問を継続した私を見ながら、知事席で笑っていました。結局性差別に寛容だったと言わざるを得ず、本当に残念です」とした。 舛添前知事は9日にツイッターで「森発言に抗議として野党女性国会議員が白い洋服で登院。失笑を禁じ
「国旗損壊罪」法案 日本を侮辱する目的で日本国旗を傷つける行為を罰する「国旗損壊罪」を盛り込んだ刑法改正が、今国会で審議される可能性が出てきた。 1月26日、自民党の議員有志でつくる「保守団結の会」所属の議員らが下村博文政調会長と面会し、「国旗損壊罪」を盛り込んだ刑法改正案を今国会に議員立法で提出するよう要請し、27日、下村氏は記者会見でこの提出を容認する考えを示したという。 自民・高市氏ら「国旗損壊罪」国会提出要請 外国国旗と同等の扱いを 改正案は日本の国旗を損壊するなどした場合、2年以下の懲役か20万円以下の罰金を科す内容だと伝えられている。26日以降、各紙がこの件について報じている(日経新聞デジタル1月26日記事(共同通信)、朝日新聞デジタル1月28日記事、毎日新聞デジタル1月26日記事などを参照)。 同趣旨の法案は2012年の国会で一度、提出され、廃案となっている。これをもう一度、
菅首相「最終的には生活保護がある」の問題点菅首相は以下の通り、27日に生活困窮者対策を問われて、最終的に生活保護制度があると答弁している。 菅義偉首相は27日の参院予算委員会で、新型コロナの感染拡大によって生活に苦しむ人たちへの対応を求められた際、「政府には最終的には生活保護という仕組み」があると述べた。 菅首相「最終的には生活保護ある」コロナでの困窮問われ 今回はなぜこの発言が問題なのか、日本の生活保護制度について問題点をわかりやすく見ていきたい。 大事な話なので、少々専門的にもなるが、最後までお付き合いいただきたい。 日本の生活保護制度には「補足性の原理」というルールがある。 これは生活困窮している場合、まずは資産や稼働能力、扶養できる親族の力などを借りても、なお最低生活が送れない場合に限り、その足りない分を支給するというものだ。 資産といえば、預貯金、証券、土地・家屋(居住用不動産は
1月27日、参院予算委員会で驚くべき発言があった。 コロナ禍にあえぐ国民に「再度の給付金を」と求める野党に対し、拒否し続ける首相。この日、予算委員会で立憲民主党・石橋通宏議員の質問に答えた菅義偉首相は、 【画像】菅義偉首相の弟に話を聞いたら、そっくりでびっくり! 「最終的には生活保護がある」 と言い放ったのだ。 ◆生活保護に至るまでの現状は過酷だ 昨年来、経済は冷え込んでいる。コロナ禍にとりわけ大きな打撃を受けたサービス業、非正規雇用者の失業、女性の貧困も大きな問題になっている。そして、自ら命を絶つ人が増えてしまった。 「生活困窮支援の相談会には、これまであまり見られなかった女性や若い方の姿も増えています。相談会の会場になっている公園へ、交通費がなくて何時間もかけて歩いてらっしゃる方、所持金が数百円、数十円の方も珍しくありません」(民間の支援団体スタッフ) それでも「生活保護は絶対受けたく
アボット・ノースウェスタン病院に勤めるチャプレンは、関野さんも含めて9人。ミネアポリスを代表する病院だけあって、毎日50人前後のコロナ患者が次々に運ばれてくる。医療崩壊を防ぐために軽症者は自宅療養となっているから、重篤な感染者がほとんどだ。苦しげにあえぐ患者でいっぱいのコロナ病棟の担当を「新人」の関野さんは敢えて志願した。 「大統領選の混乱、人種間の分断、コロナ禍と、いまアメリカは100年に一度の危機だと思うんです。せっかく来たんだから、その最前線を知りたいと思って」 コロナ病棟から「精神的に不安定になっている患者がいる」と連絡が入ると、すかさず関野さんの出番となる。防護用の装備に身を固め「びびるな」と自らを奮い立たせて病棟に入れば、そこはまさにアメリカだ。 ホームレス、ドラッグ中毒、離婚協議中で揉めに揉めている人、トランスジェンダーでうつ病に苦しみ、自殺願望を抱えたコロナ患者も運ばれてく
<「ゴミ」か「ごみ」か>新型コロナウイルスの感染拡大の中、激励の声が送られるようになったトラックドライバーは、昔からよく「国の血液」に例えられる。社会インフラとして、消費者のもとにモノを届けるという意味合いで言えば、彼らが走っている“血管”は「動脈」ということになるだろう。 医療従事者とともに、そんなトラックドライバーへの称賛が先んじて増えていったある日、筆者の元にこんな言葉が届いた。 「自分たちも国の血液。『静脈』を走っているんです」 ごみ収集員からだった。 モノの流れは、「作られ、運ばれ、消費者に届いたら終わり」なのではない。消費された後に出るごみを処分するまでが物流なのだと、その声にはっとさせられた。 筆者が「ごみ」を「ゴミ」と表記しないのには理由がある。 彼らごみ収集員の記事を書くにあたり取った初めてのアンケートで、ある収集員からこんな意見をもらったことがきっかけだった。 「『ゴミ
大阪市が廃止され、財源や権限が大阪府に移っても「住民サービスが低下することはない」と推進派は主張する。だが、4年前に同じような説明を聞き、裏切られた人がいる。「都構想」の先取りとして府に移管された市立特別支援学校12校の生徒と保護者、教職員たちだ。府に移管された支援学校の現状について、「大阪府立障害児学校教職員組合」書記長の西面友史(にしおゆうじ)さん(41)に聞いた。(新聞うずみ火 矢野宏) 写真特集 「大阪市廃止」どうなる? 賛否訴える動きが活発化 「支援学校の法律上の設置義務は都道府県にある」「支援学校の運営については広域自治体である府に一元化する」 2014年1月、当時の松井一郎知事と橋下徹市長が合意したとして、府市統合本部が一方的に発表した。学校関係者には事前に何ら説明もなかった。 「二重行政の見直し」が理由だったが、西面さんは「府と市において、支援学校の設置について明確な役割分
【記者:Vivienne Chow】 若手芸術家のジラーフ・リャン氏(27)は、あるコンセプトの下に新たな作品づくりにいそしんでいた。製作しているのは、足と二つのソケットが付いた石膏像のインスタレーション作品だ。一方のソケットは香港や英国で一般的な長方形の三つまたプラグがはまるタイプで、もう一方は中国のプラグが差し込める。しかし香港のソケットは、その足で踏みつぶされたように壊れており、中国のものは無傷だ。 リャン氏によると、まだ名付けていないこの作品は香港の暗い未来に対する同世代の多くの若者の気持ちを反映したものだという。二つのソケットは規格が違う「一国二制度」、1997年に英国が中国に香港を返還した際に導入された方針を表している。 北京の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で可決された香港国家安全維持法(国安法)は、活気があった香港の芸術家コミュニティーに影を落とした。芸術家コミュニテ
韓国では8月15日は、日本による植民地支配が終わった解放「光復」の日だ。75周年となる今日、文在寅大統領が行った演説には、いくつもの新たな視点が存在した。その深意を読み解く。 ●「愛国志士」迎え毎年場所を変えて行われる「光復節慶祝式」は今年、ソウル市内にある東大門デザインプラザ(DPP)で開かれた。以前は競技場として様々な政治行事が行われた由緒ある場所であったが、2014年にイラク出身の建築家ザハ・ハディッドが設計した未来的な建物へと生まれ変わった。ソウルのランドマークの一つだ。 この日の式はいくつかの点で「破格」だった。まずは2人の司会のうち一人として、聴覚に障害を持つイ・ソビョル氏が大役を務めたことだ。イさんはたどたどしい声と手話を交えながら、スムーズに記念式を進行した。青瓦台(韓国大統領府)は「はじめての出来事」と説明した。 次に、先に文在寅大統領が入場し、その後に入場する「愛国志士
楽園のような美しい海に黒々とした重油が広がる―先月26日にインド洋の島国モーリシャスの沖合で、日本企業の所有・運行する貨物船「わかしお」が座礁、1000トンを超える大量の燃料油が流出した事故に、世界が衝撃を受けている。各国メディアが一斉に「モーリシャス史上最悪の環境危機」について報じ、旧宗主国フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「フランスはモーリシャスの人々と共にある」と表明。他方、当の日本の動きは鈍く、今のところ、安倍晋三首相は本件について何も発言していない。 〇「楽園」の危機 今回、重油流出事故を起こした貨物船は、長鋪汽船が所有し、商船三井が運行していた「わかしお」だ。同船は先月26日にモーリシャス沖で座礁、6日には重油が流出し始めたため、モーリシャス政府は「環境緊急事態」を宣言した。 モーリシャス沖で座礁した「わかしお」 グリーンピース提供 BBCの報道によれば、事故現場周辺の海
晩夏に広島で講演をする機会をいただき、平和公園を久しぶりに訪ねた。その地で、脳裏によぎったのは、2年前のオバマ前大統領の広島訪問の「奇妙さ」だ。オバマ演説のなかでは、誰が原爆投下をしたのか、その主体は曖昧化された。日本側は、その主体であるアメリカに謝罪を一切求めず、戦後の日米蜜月がひたすらアピールされた。 この式典を貫いた奇妙さは拙著「国体論――菊と星条旗」(集英社新書)で述べた「戦後の国体」という視角から見てみると、鮮烈な意味を帯びてくる。 国体とは何か。戦前においては、言うまでもなく天皇制ファシズム体制の基礎であった。しかし、敗戦後、アメリカは脱ファッショ化を図る一方、天皇制を維持・利用しながら占領を行った。その結果生み出されたのは、象徴天皇制のみではない。従来の天皇制の構造はそのままに、天皇に代わってアメリカが君臨するという「戦後の国体」と呼ぶべき体制が生み出された。 これはアメリカ
[ロンドン発]昨年8月、中国公安に17日間にわたって拘束され、イギリスへの政治亡命が認められた在香港英国総領事館元職員サイモン・チェン氏(29)のインタビューの続きです。チェン氏は何の理由も告げられず突然拘束され、秘密警察の残酷な拷問を受けます。 取調官から「国家転覆罪で追起訴されるので、15日で釈放されることはない」と告げられました。私が正気を失わなかった理由はおそらく、取り調べがどんなに厳しくとも15日後には釈放されるという希望があったからです。しかし身に覚えがないスパイの汚名を着せられ、闘う意欲を失いました。 釈放されたかったらイギリスとデモの関係の情報を提供しろと迫られましたが、私はただの周辺参加者で暴力的な抗議活動にも加わらなかったと主張しました。取調官は「暴力よりもはるかに悪いものがある。お前はデモの首謀者でイギリスのエージェントだ」との嫌疑をかけました。 私は泣きながらひざま
北朝鮮粛川郡出身のイ・スダンさんは「ヒトミ」という日本式の名前で恥辱を受け、中国人「リ・ポンウィン」として人生を終えた。子どもを持つことができなかったイさんは晩年にアルツハイマーと統合失調症が重なり、赤ちゃんの人形を抱きながら過ごした。イさんは人形に「私と一緒に住もう」と話したりした。[写真 安世鴻] 主観的「意見」と客観的「事実」が混在する時、写真は「事実」の証拠として作用する。写真家の視線により証拠総量は変わるが、ドキュメンタリー写真の大部分は芸術よりは記録と証拠に忠実なメディアだ。こうした理由からドキュメンタリー写真はわれわれが目を背けていたり見ることができなかった事実に沿って不便な感情をも与える。本には老いて病んだおばあさん21人の写真が登場する。写真111枚が入った303ページの本は一見すると写真集だ。ページをめくるたびに写真がほぼ毎回登場する。関連情報がない他人にとってはもしか
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