1. 私の著作のうち、ほとんどとは言わずとも多くのものが移民たちや避難民たちについてのものであり、2014年から2016年にかけてのいわゆるヨーロッパの「難民危機」が私の関心をひいたのも、それほど不思議なことではない。世界中の何百万の人々と同じように、私は難民たちについてのメディア報道にくぎ付けになった。彼らは地中海やバルカン半島を通って、どうにかしてヨーロッパに到達しようとしていた。 報道を追っていたあるタイミングで、腑に落ちない点があることに気が付いた。ヨーロッパのメディアは、難民たちがアフリカや中東の、戦争でぼろぼろになったり、経済的に荒廃したりしている国々——エリトリア、ソマリア、シリア、イラク、アフガニスタン、等々——からやってきていると主張している点で、多かれ少なかれ一致していた。しかし、写真やテレビの映像をよく見てみると、インド亜大陸からやってきたに違いない顔つきの人々が多く