【天地始之事】 禁教下の江戸時代に執筆され、長崎の隠れキリシタン達が書写して秘密裏に読んでいたと思われる手作りの聖書。数冊の写本が現存し最も古い写本は文政年間書写と記されている。 キリスト教に関する一切の資料が破棄された中で口伝の記憶のみを頼りに書かれ、空白の部分には神道、仏教、民間信仰の知識を差し入れて補完された事から、今日から見れば奇妙に伝わった部分や日本の民話等と混濁してしまった部分が随所に見られる。 そこに描かれている日本的なものと西洋的なものが奇妙に同居している不思議な情緒は、今日に生きる我々の興味を却って強く掻き立てる。 『天地始之事』は非常に面白い書物なのですが、ネット上で簡単に読める口語訳が今のところ無いようなので稚拙ながらやっていってみようと思います。素人の拙訳なので誤…続きを読む