日本は長い間稲作を営んできた瑞穂の国。稲には、特別な霊力と神が宿ると信仰されてきました。正月の注連飾りなども稲ワラで作られるように、神聖な場所の結界に稲ワラを利用してきました。そんな稲ワラ文化の極致といえるものが巨大稲ワラ人形・鹿島様。 湯沢市岩崎地区の三つの町内(末広町、栄町、緑町)では、それぞれ高さ約4メートル前後のワラ人形を作って、村の北・南・西の入口に奉り、疫病退散や家内安全、五穀豊穣を祈願してきました。全国にある稲ワラで注連縄や大蛇を綯い災厄よけとする道切り、辻切りなどと同じく、村の境界や道筋などに置く道祖神・賽の神の一種で、民俗学的には「人形道祖神」といいます。 もっとも有名なのはもちろん4メートルを越す身の丈と力士のような体躯の巨大なタイプですが、その姿はバリエーションに富み、木に巨人の履くような大わらじを吊るしたものや、絵馬のように仁王面だけのもの、全身木製のものなどさまざ