金物職人として自身のアトリエを立ち上げながら、ル・コルビュジエをはじめとした先進的な建築家との協働を通して、自身もモダニズムを先導する建築家となっていったジャン・プルーヴェ。建築だけではなく家具のデザインにおいても知名度が高いプルーヴェは、戦後の復興期には、工場で製作した部品を現場で組み立てるプレファブリケーションの分野を切り開いた。プルーヴェの実践を構法と意匠の両面から研究している構造家の横尾真が、実験的な窓の試みを解き明かす。 1901年フランス、ナンシー市に生まれたジャン・プルーヴェは生涯にわたって多くのデザイン(主に家具や建物のコンストラクション)に関わった人物である。キャリアの初期は、アール・ヌーヴォー、ナンシー派を率いていた父であるビクトール・プルーヴェの影響を受けて、エミール・ロベールの下で金属細工師の修行を経て、鋳鉄職人として活動していた。晩年はパリに建つポンピドゥー・セン