東郷さん:とうとう相模書房が閉鎖するらしいね。 宮武先生:だいぶん前からウワサは流れていたからね。 恵美ちゃん:相模書房ってどんな出版社なんですか? 宮武先生:現存する建築専門の出版社としては一番古いんだ。昭和11年の創業だから、もう80年くらいになるかな。人間の寿命が伸びたけど、人の平均寿命を超えている。 東郷さん:日本の出版社全体を見渡してみても、これだけの老舗はあまりないんじゃないかなあ。 恵美ちゃん:相模書房はどんな本を出してきたんですか? 宮武先生:戦前は岸田日出刀という東大の新進気鋭の教授の随筆集を何冊も出してとっても評判になったんだ。 東郷さん:おれは『縁』とか『扉』という漢字一文字の題名の本をよく覚えているよ。 恵美ちゃん:岸田日出刀っていう名前は聞いたことがありますけど、どんな人だったんですか? 宮武先生:戦前の東大では、構造や歴史を教える人はいたけど、現代建築の設計を教