日本全国には約3万人のホームレスがいると推定されている。ニューヨーク市にはそれを上回る3万7000人のホームレスがいるが、旅行者がその姿を見かけることはあまりない。彼らは公園や河原のダンボールハウスに住んでもいないし、残飯を漁ることもない。 チャイナタウンの東側、ブルックリン橋に近いローワー・イーストサイドはハーレムと並ぶマンハッタンの貧困地域だ。ニューヨーク市の再開発事業でハーレムは今や観光地となったが、この一帯は旅行者が訪れることもなく、薄汚れた表通りに昼間から失業者が徘徊している。 この街の一角に、古い3階建てのビルを改造した簡易宿泊施設がある。部屋は男女別のドミトリー(共同寝室)形式で、照明を落とした部屋にカーテンで仕切られた小型のベッドが並んでいる。ホームレスはここで無料の食事とベッドを与えられる。室内は殺風景だが清潔で、スタッフが忙しく立ち働いている。 私がこの施設を訪ねたのは
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