クリストファー・プリーストの傑作『魔法』はもともと早川の「夢の文学館」というシリーズから出ていたのですが、そのシリーズの1冊がこのジェフ・ライマン『夢の終わりに…』。訳も同じ古沢嘉通です。 古本屋で見つけたかったのですがこれがなかなか読ませる本! 内容はというと、『オズの魔法使い』をめぐるもう一つの物語です。 ミュージカル映画にもなって大ヒットした『オズの魔法使い』。カンザスに暮らすドロシーが愛犬のトトとともに竜巻に家ごと巻き込まれて「オズの国」へと飛ばされてしまい、そこで脳の無いカカシ・心の無いブリキの木こり・臆病なライオンと出会い、それぞれの願いを叶えてもらうためオズの魔法使いに会いに行くというこの話は、考えてみればちょっと不思議なところがあって、ドロシーが実両親ではなくエムおばさんとヘンリーおじさんと暮らしている点。 「ホームよりもいい場所はない」ということにドロシーが気付くラストで