CSRの世界で、伊藤園の名前を知らないものはいない。同社の緑茶を中心とした飲料事業は、CSVの“模範演技”ともいえるバリューチェーンを展開している。ポイントは次の三つだ。第一に、「茶畑から製品まで」の独自の一貫体制を確立したこと。第二に、調達、商品開発、製造、物流、営業、販売、マーケティングまでの一連の流れ、すなわちバリューチェーンの循環連携構造を競争戦略として展開していること。そして、第三は、その中核に、CSR、CSVの理念を明確に位置付けていることである。 伊藤園は、こうした経営戦略全般が高く評価され、2013年に「ポーター賞」を受賞している。ポーター賞とは、日本企業の競争力を向上させることを目的に、一ツ橋大学大学院国際企業戦略研究所が創設した表彰制度である。賞の名前は言うまでもなく、CSVの提唱者であるハーバード大学のマイケル・ポーター教授の名を冠したものだ。なお、この賞はCSVの取