親愛なる読者諸君。 この論文に目を止めた方だ、きっと貴方は本が好きであろう。 そして、私と同じように本の整理に頭を悩ましているに違いない。 本好きなら誰でも知っていることだが、本というものは、止めどもなく増殖を続ける性質を持っている。すぐ読む本、後で読む本、後で読むつもりで結局読まない本、最初から読む気はないが安心感のために買う本、何となく集めてしまう本、惰性で買い続ける本、本、本。 本は、貴方の部屋に流砂の如くなだれこむ。しかしながら、本好きの貴方は、本を捨てることが出来ない。 押し入れの下に突っ込んでおいた段ボール箱からあふれ出し、部屋の床を蹂躙し、さらには階段から廊下まで制圧するにとどまらず、とうとう台所に植民地を築き始める、本。 こうなってしまうと、ある特定の本を探し出す作業は困難を極める。貴方は、ある本が必要になったために半日かけて蔵書の山を崩してゆかなければならない。そうして本