――メキシコの麻薬戦争について、なぜ関心を持つようになったのですか? 僕が知っている麻薬戦争の国といえばコロンビアでした。それがいつのまにかメキシコに変わりました。そもそも麻薬戦争とは、カルテルと呼ばれる麻薬密売組織の縄張り争いや、カルテルを撲滅しようとするメキシコ政府との武力紛争のこと。起こっている現象も異常で、たくさんの人が殺されているし、その殺し方も残忍で、莫大なお金も動いている。それが聞こえてきたのは、この10年くらいのことですからね。 現在のメキシコは戦場を除けば、地上で最も危ない場所のひとつとまで言われています。麻薬をめぐっては、2006年からの6年間で累計12万人の犠牲者が出たともいわれ、明らかに特異です。 ――麻薬ビジネスにも、興味はあったのですか? 僕は長く裏社会といわれる世界を追っていますが、それを象徴するもののひとつが麻薬です。銃や殺人事件なども裏社会につきものですが