「間違った日本語」の典型例の一つとされる言葉に、「的を得る」があります。『うまく要点をつかむ』という意味の「的を射る」の誤用とされたこの言葉ですが、実は近年では必ずしも「誤用」とは言えないという説の方が主流になりつつあります。 「正鵠(せいこく)を得(え)る」という言葉があります。 「正鵠」というのは中国に由来する古い言葉で、本邦では主に「弓の的」もしくは「的の中心」を表し、転じて『物事の急所・要点』という意味で使われています。 元々の漢籍には「不失正鵠(正鵠を失わず)」という言い回しがあり、これが『的をはずれないこと≒物事の要点や急所を正確にとらえること』という意味で使われていたようです。 「得る」は、「要領を得た」「当を得た」等と言った時とほぼ同じ用法かと思われます。つまり、「正鵠を得る」は、「的、あるいは的の中心を的確に捉える≒うまく(物事の)要点をつかむ」、という事になり――上記の