日本で公衆無線LANサービスが始まって約5年が経過した2006年末,これまでにないサービスが日本に上陸した。スペインに本部を持つ英フォン・ワイヤレスが提供する「FON」である(以下,事業者を指す際は「フォン」と,サービスを指す際は「FON」と表記)。開始から約7カ月が経過した2007年6月中旬の段階で,アクセス・ポイント(AP)数は1万8000近い数に達している。他の公衆無線LANサービスのエリア数が, 多くて6000程度であることを考えると,瞬く間に国内最大規模のサービスに成長したことになる。 フォンは従来の公衆無線LANサービスとは,根本的に異なるビジネスモデルを打ち出し,攻勢に出る。エリア展開を完全にユーザーに委ね,通信サービスは極力無償で提供。通信以外の収益でビジネスを成立させようと目論んでいるのだ(図1)。 図1●FONと既存の公衆無線LANサービスの違い FONは,インフラ構築