記事:春秋社 マンガレヴァ島、モコト山頂からダフ山を望む(著者撮影) 書籍情報はこちら 日本のエネルギー政策の矛盾 2020年10月、日本政府は2050年に温室効果ガスの排出実質ゼロである「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、2030年度に温室効果ガスを13年度比で46%削減する目標を打ち出した。そして2023年2月、「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」において、60年を超えても原発の運転を可能にする新ルールや、次世代型原発の開発・建設を盛り込んだ。日本政府の「持続可能な」エネルギー政策は原子力に大きく依存しているようだ。 こうした政府のプランにひきかえ、現実はどうだろうか。使用済み核燃料を再処理する「核燃料サイクル」は提唱から半世紀が経っても絵に描いた餅のままほとんど廻っていないし、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定も見通しが立たないままだ。これが