400勝投手の金田正一氏は、文字通りプロ野球の歴史の生き字引でもある。現役時代の球威についてや、往年の名選手たちと麻雀卓を囲んだ思い出について、金田氏に聞いた。 ──現役時代の監督(本誌記者は金田氏のことをこう呼ぶ)の球はどれぐらい速かったんですか? 金田正一(以下、金田):180キロは出ていたんじゃないか。 ──もう一度お願いします。 金田:やっぱりお前はワシをバカにしとるだろう。国鉄時代、ある地方球場での阪神戦でこんなことがあったんだ。ワシが投げる度に阪神の打者が首を傾げるのよ。それで金田正泰さんの打席でタイムがかかり、何やら主審に話しかけるとベンチから監督まで出てきた。するとマウンドに集まった審判が、メジャーを持ち出してバッテリー間の距離を測り始めたのよ。 ──試合中にですか? 金田:ワシの球があんまり速いからマウンドからホームベースまでの距離が足りないという疑いがかかっ