■脳の中の「わたし」坂井克之著, 榎本俊二著。 脳研究者による本。「脳科学」は、一部の脳科学者のために、いささか怪しい分野であるように見えるが、この本は大丈夫だ(と私は判断した)。私は未読であるが、著者の坂井は、「脳トレ」や「ゲーム脳」などの脳科学ブームを批判的に検証した本も書いている(■脳科学の真実--脳研究者は何を考えているか)。『脳の中の「わたし」』は、個々の実験の結果や症例の紹介が丁寧で、また、事実と解釈の区別が明確にされているのがわかりやすい。解釈には深入りしないので、哲学的になりすぎることもない。また、イラストが豊富である。「文章とイラストのコラボレーション・新しい科学読み物」というシリーズらしい。たとえば、表紙は、半側空間無視を表している。絵でわかる人もいるだろうが、「えの素」「ムーたち」などの作品で知られる漫画家の榎本俊二によるものである。坂井によるあとがきによれば 榎本さ