異星人との交流を「徹底的に中世人の視点から」描く異色のファーストコンタクトSF。ゲームなどにありがちなナンチャッテ中世じゃない、リアル中世の暮らしってどんな感じなのか、SF分を補給しつつその雰囲気だけでも味わえたらと手にとった本が、まさかここまで完璧に期待通りの内容とは。うれしい誤算でした。 マイクル・フリンの紹介や著作歴についてはこちら。↓ 嶋田洋一/マイクル・フリン『異星人の郷』訳者あとがき 作者の得意ジャンルはハードSFらしいのですが、「異星人の郷」ではそうした要素はひかえめで、中世ヨーロッパの科学観・宗教観や地道な異文化交流をこつこつ描き込むことに重きがおかれています。ぶっちゃけ、物語の結構としては非常にありきたりなもので、展開もひたすら地味です。 しかし、思うにその点こそがこの作品のいいところではないかと。中世を忠実に再現し、目新しいSFアイデアや派手なドラマを排したおかげで、「