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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (27)

  • ものつくりの科学の歴史「工学の歴史」

    科学史や技術史とは一線を画する「工学史」という新しい領域を読む。 かなりの大著と思いきや、ポイントを絞ってコンパクトにまとめている。機械工学を中心に据え、細部は参考文献に任せ、キモのところを大づかみに伝えてくれる。おかげで、歴史・地理の両方から俯瞰的に眺めることができる。知のインデックスとして最適な一冊。 テクノロジー&サイエンスといえば、西洋の専売特許だが、長い目で見ると違う。ニーダム線図、ニーダム・グラフと呼ばれるグラフが顕著だ。歴史的には、長いあいだ中国こそが科学技術の先進国だったことは知っていたが、ここまであからさまだとは。 中国は古代から中世まで科学技術で世界をリードしていた。だが西洋は後期中世から急激に成長し、ルネサンスを境に両者の関係は逆転している。新参者にすぎない西欧が、なぜ中国を追い抜いたのか? もちろん科学と軌を一つにしてきた軍事面から説明できる。「戦争の世界史」を読む

    ものつくりの科学の歴史「工学の歴史」
    dance777
    dance777 2012/06/05
    "あらゆる科学技術の進展は、技芸化→商業化→産業化された戦争の賜物だということが分かる。ヨーロッパの歴史はそのまま戦争の歴史であり、戦争の歴史はそのまま科学技術史に"
  • 本好きが選んだハヤカワの170冊

    オススメを持ち寄って、まったりアツく紹介しあう「スゴオフ」、今回のテーマは「ハヤカワ」!これまた楽しく美味しいだけでなく、積読山脈を成長させるスゴい回だった。 午後一時から夜八時、延々7時間のマラソン・オフ会、見てくれこの獲物。 ばかりですまぬ。場の"ふいんき"はやすゆきさんの「早川書房さんシバリスゴオフは直球、変化球アリで「さとし」が大人気の楽しいパーティだった」でどうぞ。 まずはSF、「ハヤカワといえばSF」の通念をあえて外したのか、SFはあるにはあるが、期待したより少なめ。おすすめプレゼンでは、イーガンもホーガンも、ギブスンもレムもないのがちょっと驚き。代わりにブラッドベリやハインライン、クラークが熱く語られる。暫定的結論によると、「幼年期の終わり」はSFオールタイムベスト、「ハイペリオン」はSFのラスボス」になった。「幼年期の終わり」と「ブラッド・ミュージック」はペアで読むと

    本好きが選んだハヤカワの170冊
  • 「貧乏人の経済学」はスゴ本

    経済学者≒ソフィスト」と冷やかに観察しているが、書は例外。 なぜなら、後知恵の机上論を分かりよいストーリーに押し込んで一丁あがりにしないから。あらゆる問題を一般原理に還元し、紋切型に落とし込む発想を拒絶するから。解決策はランダム化対照試行(RCT:random control test)によって検証済のものだから。 紋切型の経済学者が唱える「銀の弾丸」はないものの、「こんな状況下でこういう対策を打つと、確かに効果が期待できる」といったシナリオは描ける。面白いことに、そのシナリオを支える理屈は、「いま」「ここ」にも適用できるセオリーであるところ。わたしが貧困の罠に陥っていない理由は、わたし個人の努力よりも、社会システムに依拠しているものが大であることが分かる。見えるもの(社会保険、公衆衛生、教育システム)だけでなく、そこからくる見えないもの(安心、安全)に二重三重に保護された「わたし」が

    「貧乏人の経済学」はスゴ本
    dance777
    dance777 2012/06/05
    ”貧乏な人は自分の人生のあまりに多くの側面について責任を背負い込んでいます。金持ちになればなるほど、だれかが「正しい」判断を代わりに下してくれます”
  • このハヤカワがスゴい!

    オススメをもちよって、まったり熱く語り合うスゴオフ、今度は「ハヤカワ」だ。 つまり、早川書房が肴だ。SF、NV、JA、HM、NF、FT、epi、演劇、もちろんハードカバーやミステリマガジンもOKだ。それではと、ハヤカワ・マイベストを選ぼうにも……これがすっごく難しい。「この新潮文庫がスゴい!」と同じで、素晴らしいがありすぎるのだ。 「ハヤカワといえばSFだろ常識的に考えて」、「ハヤカワといえばミステリの王、いや女王」という意見がある。全面的に賛成……なのだが、わたしの傾向では、NV(ノヴェル)やNF(ノンフィクション)を好んで読む。シリーズ丸ごと推したいのがハヤカワepi文庫。epiとは、"epicentre"の略で、「震源」のこと。海外小説の素晴らしさを伝える発信源たる思いが込められているという(こっそり「よりぬきハヤカワさん」と呼んでいる)。スゴが、傑作が、徹夜小説があまりに多

    このハヤカワがスゴい!
  • 努力の最適化「上達の技術」

    正しい努力の仕方。 伸び悩むアスリートや、受験勉強に苦労してる方には福音となるかも…あるいは「知ってたよ!」とウソブくかも。上達上手とは無駄な努力をしないこと。漫然と練習を重ねたり、やみくもにひたすらにガンバルだけでは、決して「最高の自分」にたどり着くことはない―――著者は警告する。むしろ、"時間"という貴重な資源のムダになりかねないという。だから、上達のルールにのっとった「正しい努力」をするべきなんだって。 では、「正しい努力」「上達のルール」とは何か。以下の8章で応える。 第1章 最高の実力をだす技術 第2章 結果をだせる練習の技術 第3章 勝負強くなる技術 第4章 集中力を高める技術 第5章 記憶の達人になる技術 第6章 高いやる気を発揮する技術 第7章 打たれ強くなる技術 第8章 創造性を発揮する技術 例えば第2章の「結果をだせる練習の技術」に、「分習法」と「全習法」が紹介される。

    努力の最適化「上達の技術」
    dance777
    dance777 2011/06/29
    "反復練習により、より少ない酸素や消費エネルギーでやれるようになる。つまり、同じ結果を"ラクに"出せるようになる"
  • 子育ての原則=待つこと「男の子が自立する子育て」

    最初に結論。子育てで最も大切なことは、「待つ」こと。 「父親」をやるようになって十年たつ。もう赤ちゃんでも幼児でもなくなり、いわゆる「手がかからない」状態だが、もうしばらく父業は続くだろう...子が自立するまで。やネットを読み漁り、近所の同業者と相談したり、試行錯誤をくりかえしてきた。育児関連は沢山あるが、子育ての原則はこれに尽きる、「待つこと」。 具体的に何をどうケアするかは時期それぞれになるが、準備をしたら、あとは見守る。助走を手伝ったり、しばらく併走することはあるかもしれない。だが、構えは「待つ」だ。実のところ、わたしはこの「待つ」が苦手だ。つい、口を出したり手を出したり「なんでできないの!」と叱ったりする。そのたびに反省しながら、子どもの成長を待つのが親の仕事だと自分に言い聞かせる。 放任ではなく、見守る。環境を整えたら、あとは子どもは育っていく。子どもの「育ち」を信頼するのだ。

    子育ての原則=待つこと「男の子が自立する子育て」
    dance777
    dance777 2011/05/24
    "反抗期に現れる言動は、「自己表現の引き出しの少なさ」がそうさせている"
  • キスの科学「なぜ人はキスをするのか?」

    キスをする究極の理由から、科学的に正しいキスの仕方まで。 特に、効果的なファーストキスのアドバイスは、シングル(の男性)に朗報かと。ただし、「ファーストキス」の意味合いが違う。一般に「ファーストキス」とは、その人にとって生まれて初めてのキスのこと。だが書では、その相手とする最初のキスのことを、ファーストキスと呼ぶ。初物と初キスの違いやね。 見返しを眺めると、ずばり美人。こんなサイエンスライターが「キス」についてあれこれ調べて・自らも被験者となったレポートだなんて、ドキドキながら読むのだが……中身は至極まっとう。たがいのくちびるをかさねる、その行為を、以下の2つのアプローチから分析する。 1. 生物学的、遺伝学的な要因 2. 文化的、社会環境的な要因 ボノボの例を用い、「キス」は人の専売特許ではないことを説明する。仲間をなめたり、鼻をこすりつけたりする行為は、人のキスに匹敵する。では、なぜ

    キスの科学「なぜ人はキスをするのか?」
    dance777
    dance777 2011/05/21
    ”もともとは生物学的な行為だった「匂いかぎ」が、文化的な行為「キス」に洗練されていく”
  • ラテンアメリカ十大小説

    垂涎の狩場ガイド、繰るたびに嬉しい悲鳴。 特別意識してなかったにもかかわらず、「これは」というのが結果的にラテンアメリカ圏だったことは、よくある。幻想譚や劇薬小説が「ど真ん中」で、めくるたびハートをワシ掴みされる。自他彼我の垣根をとっぱらう、のめりこむ読書、いや毒書を強制されるのがいいんだ。 そしてこれは、ありそでなかったラテンアメリカ文学のガイドブック。ブラジルを除いたラテンアメリカスペイン語圏を中心に、10人の作家の10作品を選び取る。いくつか読んでいるので目星がつく、どれも珠玉級。 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『エル・アレフ』―――記憶の人、書物の人 アレホ・カルペンティエル『失われた足跡』―――魔術的な時間 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス『大統領閣下』―――インディオの神話と独裁者 フリオ・コルタサル『石蹴り』―――夢と無意識 ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』―――物語

    ラテンアメリカ十大小説
  • 風邪にかかるのが楽しみになる「かぜの科学」

    風邪にかかるのが楽しみになる一冊。 風邪とは何か。風邪を「撃退する」ことはできるのか。ほんとうに「効く」療法はどれで、どれが俗信か。ポリオを根絶できるのに、なぜ風邪のワクチンがないのか――― 病原体、媒介物、経路、処方箋、民間療法、市販薬の検証、最新の研究成果にいたるまで、著者はさまざまな切り口から風邪の正体に迫っていく。自ら臨床試験(治験)に参加して、試験の様子を報告する件なんて、まさに身体を張ったレポートだね。他人の鼻汁を注いだり、鼻ほじりをこっそり観察する実験は、読んでるこっちの鼻がムズムズしてくる。 次の「常識」のうち、正しいものはどれだろう? 「免疫力」が低下すると、風邪にかかる 風邪には抗生物質が効く 風邪の予防には、ビタミンCが効く 答えはマウス反転→【すべて誤り】 無知を承知で告知するなら、書を読むまで知らなんだ。風邪の季節は免疫力アップを謳うサプリメントを買い求めるし、

    風邪にかかるのが楽しみになる「かぜの科学」
    dance777
    dance777 2011/05/06
    "活発な免疫系を持つ人のほうが風邪の症状に苦しむことになる/病原体と戦う「鍛錬」をしないと未発達のままで、花粉など無害なアレルゲンに対し過剰な反応をしてしまう"
  • 「マンガの創り方」はスゴ本

    『マンガの創り方』は、語り手のためのバイブル。 ストーリーマンガ、特に短編を中心に解説しているが、マンガに限らない。小説やシナリオなど、あらゆるストーリーメーカーにとって有用だ。なぜなら、読者や観客といった「受け手」を楽しませるための秘訣があますところなく明かされているから。 いわゆる、「マンガ入門」ではない。ネーム作ったら下書きしてペン入れして…といったイロハではなく、「ストーリーの作り方」「ネームの作り方」に限定している。だから、書の技術を習得することで、次のことが根源から分かる・使える。 面白いストーリーとは何か、どうすれば「面白く」なるのか 良い演出とは何か、どうやって身につければよいか 素晴らしいクライマックスにするために、どうすればよいか 何を面白い/良いと感じるかなんて、人それぞれ。だからそんなテクニックなんて無い――そんな意見もある。あるいは、先天的なセンスの問題だから

    「マンガの創り方」はスゴ本
    dance777
    dance777 2010/08/24
    "映画やマンガを見る前に、まずシナリオなりネームを読むことを強く勧めている。そして、画のない状態で自分がどれだけ考えつくか、やってみる"
  • 「論理トレーニング101題」はスゴ本

    東大教授が新入生にオススメする100冊」に、必ず登場する名著。 書は、安直ビジネス書に群がり、カモにされているカモリーマン向けではない。週末にナナメ読んで、「なんとなく分かった気分になる」自己満足を目指していない。1問1問、エンピツとノートを準備して、101問すべてに取り組むべし。「解説書なんかいくら読んだって論理の力は鍛えられない。ただ、実技あるのみ」のとおだ。やれば、やった分だけ向上する。 大きく2部に分かれており、前半は、接続詞に注意して正確に議論を読み取り、その骨格をつかまえるトレーニング。そして後半は、演繹と推測の適切さを論証し、さらに論証を批判的にとらえる訓練をする。すべて、①練習問題→②自力で解く→③解説と答えあわせのくり返し。章末に、ちとムズめの問題が待ちかまえており、③の理解を確かめることができる。200ページたらずの薄手のなのに、中はどろり濃厚で、「飛ばして」「ナ

    「論理トレーニング101題」はスゴ本
    dance777
    dance777 2010/08/24
    "ヴァギナという言葉の由来には、剣をおさめる「鞘」という意味があったそうな。"
  • この恋愛本がスゴい

    スゴオフ(恋愛編)でまったりアツく語り合った中からいくつか。 いちばん面白かったのは、「オススメの恋愛を紹介しあう」のが目的なのに、だんだん話が「恋愛とは何か?」にシフトしていったこと。なぜそのがオススメなのか?についての説明が、そのまま「自分にとって"恋愛"とはこういうもの」に換えられる。それは経験だったり願望だったりするが、それぞれの恋愛の定義なのだ。「」という客観的なものについてのしゃべりが、「私」という個人的なものを明かす場になる。 「レンアイ」ってのは、ドラマや映画小説で市場にあふれ、ずいぶん手垢にまみれているのに、いざ自分が体験するとなると、非常に個人的な一回一回の出来事になってしまう。墜ちて初めて、一般化されていたワタクシゴトに気づくという、とても珍しいものなんじゃないかな。いわゆるスタンダードな王道から、変則球なのに「あるある!」「そうそう!」と手や膝を打った覇道

    この恋愛本がスゴい
    dance777
    dance777 2010/05/19
    "「レンアイ」ってのは、自分が体験するとなると、非常に個人的な一回一回の出来事になってしまう。墜ちて初めて、一般化されていたワタクシゴトに気づく"
  • 電子化できない体験「本から引き出された本」

    書店に行くのがおっくうな理由として、新刊の山がある。 もちろん、できたばかりの作品を沢山の人に読んで欲しいというタテマエは分かる。だがわたしには、あの山がまだ不良化されてない債権に見えるのだ。一冊一冊ていねいに永く読んでもらいたい、という扱いから遠い。風俗や流行を集めて束ねて並べた流通体で、いずれ断片が reblog/twit されるからいーや、と考えてしまう。レジまで騙せたら御の字という態度なら、すべて電子化してしまえ、あとはこっちで選ぶから、と乱暴に想像する。 しかし、どんなにスクリーニングされても「」という形としてなくならないものがある。たとえ電子化されても固有名詞で記憶され検索されて、(別料金で)紙のカタチになるがある。人が生きている限り、忘れられることのないがある。 書は、そうした「残る」から引き出されただ。著者はマイケル・ディルダ。ワシントンポスト紙で書評欄を担当し

    電子化できない体験「本から引き出された本」
    dance777
    dance777 2010/04/12
    "詩に完成はない、断念あるのみ/ほんとうの発見とは、未知の風景を求めることではなく、新たな目を持つこと 別の目、別の百の目で宇宙を見つめ、それぞれの目に映る百の宇宙を見ることにある"
  • おもしろうてやがて悲しきコンドーム「コンドームの歴史」

    良いコンドームで、良い人生を。 コンドームを軸に、文化史、医学史、宗教史、技術史を横断的に俯瞰しながら、避妊具から性病予防、奇想天外な使い方を紹介する。そして、人類に対し、この道具がいかに偉大な役割を果たしているかに気づき、驚かされるだろう。次に使うときは、おもわずまじまじと見つめてしまうに違いない。 コンドームの歴史は避妊技術歴史。ファラオまでさかのぼると、パピルス製のコンドームが登場する。紙のコンドームをつけてまでいたすとは、間違った畑に種をまくという事態を権力者がどれほど心配していたかを如実に物語っている。布製だったり魚の浮き袋や腸を使ったりと、涙ぐましいテクノロジーの進歩(?)が語られる。今なお残る最古のコンドームは、1640年にブタの腸で作られているそうな。洗えば再利用可能で、さすがスウェーデン製、エコだね。いっぽう最新のコンドームはオカモト製で、0.02mmという驚異的な薄さ

    おもしろうてやがて悲しきコンドーム「コンドームの歴史」
    dance777
    dance777 2010/04/12
    "性感染症が急速に普及/蔓延する後押しをしているのが、戦争だ。ナポレオン戦争、独立戦争、第一次大戦、第二次大戦と、まったく同じ苦労と徒労をくりかえしている"
  • はだかをはだかにする「はだか」

    はだか、好きですか?もちろん、わたしは好き。 では、むちむち姉さんのではなく、「自分のはだか」ならどうだろう。脱衣所で目にするソレはあまり形容したくないし、人様にお見せするような代物でもない。温泉とかで裸体をさらすと、気恥ずかしいというか、妙に気まずい。そういう「文化」なんだろうと思考停止していたが、この「はだか」のおかげで気づきが山と出た。武蔵野美術大学の原研哉ゼミにおける、卒業制作を書籍化したものだ。 書が提案する、さまざまな「はだか」のアイディアに接するうちに、「わたしのはだか観」なるものが見えてくる。つまり、わたしが「はだか」についてどのように考えているかが、「はだか」にされるのだ。これは、面白い。 たとえば、「りぼん」をはだかにするアイディア。少女マンガのキャラクターを、そのまんま、まるごと脱がす。顔やポーズ、セリフをトレースし、服だけを完全に脱がせた裸体で描き起こすのだ。中高

    はだかをはだかにする「はだか」
    dance777
    dance777 2010/04/12
    "服装が記号として扱われている/衣服こそが個人にまとわりつくキャラクター性や立ち位置といった情報を体現していたのだ/理想の体型からの偏差が羞恥を生み出す"
  • 「怒らないこと」はスゴ本

    怒らずに生きるための一冊。 自分を壊さないための怒り方として、[正しい怒り方]を書いた。この記事がきっかけになって、書に出会う。著者はスリランカ上座仏教の長老で、アルボムッレ・スマナサーラという。「怒り」に対する考えや姿勢を、わたしの記事なんかよりも、ずっと分かりやすく・直裁に具体的に紹介している(誓っていうが、これをタネにしてませんぞ)。怒りのない人生が欲しい方へ強くすすめる。わたしにとって、「それなんて俺」的な確認のための読書となった。次にわたしが「怒る」とき、よりその質を観ることができるだろう。 ■ 「怒り」について、誰も知らない 最初に著者は挑発する、「怒り」について誰も知らないと。「怒るのは当たり前だ」と正当化したり、「怒って何が悪い?」さもなくば「怒りたくないのに、怒ってしまう」という人は、自分にウソをついていると断言する。「当は怒りたくない」なんて言い訳して、ホントは

    「怒らないこと」はスゴ本
    dance777
    dance777 2010/04/12
    ”「なぜ怒るのか?」 1. 私をののしった/バカにしている(akkocchi mam)    2. 私をいじめた/痛めつけた(avadhi mam)    3. 私に勝ってしまった(ajini mam)    4. 私のものを奪った”
  • ムー好きにはたまらない「奇界遺産」

    オカルト度No.1 X51.ORG の中の人こと佐藤健寿氏の強烈な写真集。 グロまみれの博物館から全て人骨で作ったカタコンベ、取り憑かれてるとしか思えないテーマパークまで、世界中の変な・妙な・珍宝なものを撮りまくる。誰かの脳汁まみれの庭園や、無邪気に狂気を追求しているホルマリン漬の群れを眺めているうち、これはホントに現代か?地球の光景か?と自問する。 もちろん、ナスカやエリア51、ギリシアのオーパーツといった"有名どころ"はきちんと押さえてある。「あの人はいま」的な話として、サティヤ・サイババがまことにビミョーな立場になっており、思わず微笑む。インド人の心の広さを見習うべき。胡散臭さで言うならば、「諸葛亮孔明の子孫」とか「二千年前の死体」(どちらも中国)が群を抜いているが、その怪しさ(妖しさ?)は白髪三千丈ならぬ乗か。漢民族の想像力を見習うべき。 いわゆる観光名所となりそうな、奇岩やら奇景

    ムー好きにはたまらない「奇界遺産」
    dance777
    dance777 2010/03/14
    "ムリヤリ天国を作ろうとすると、たいてい地獄ができあがる"
  • マクニール「世界史」はスゴ本

    800ページで世界史を概観できる名著。 「シヴィライゼーション」という文明のシミュレーションゲームがある。暇つぶしのつもりで始めたのに、暇じゃない時間まで潰されてしまう危険なゲームだ。マクニール「世界史」もそう。それからどうなる?なんでそうなる?に次々と答えてくれる書は中毒性が高く、読むシヴィライゼーションといってもいい。 ゲームのように面白がれないが、ゲームのように熱中して、マクニール「世界史」の最新完訳版を読む。世界で40年以上にわたって読み続けられており、blog/twitter/tumblr でスゴいスゴいと噂には聞いていたが、たしかに素晴らしい。何が良いかっていうと、「眠くならない歴史」であるところ。 話は少しさかのぼる。流行に乗っかって教科書開いたはいいが、あれだね、睡眠導入剤として最適だね、山川世界史。パブロフのなんちゃらのように、開いた途端、急速に眠くなる。「メソポタミア

    マクニール「世界史」はスゴ本
    dance777
    dance777 2010/03/05
    "「ユーラシアが横長で、アフリカ/アメリカが縦長だったから」その結果、作物の集積や都市化、稠密化が比較的容易に果たされたことが、覇者の要因"
  • 「線の冒険」はスゴ本

    「線」にまつわる様々なイメージ・記憶・連想が次々と喚起させられる。 著者は、グラフィックデザイナー松田行正。彼の「掻き立て」がすばらしく、知らず知らずわたしが抱えていた固定観念と化学反応を起こしまくる読書になった。実存ネタに触れずに、自らの視覚世界を疑うなんて芸当は、書が初かも。 「線」とは、ふだん見えないもの、気にも留めないもの。しかし、区別のための境界・輪郭や、点の軌跡、抽象化や透視によって現れてくる「線」を、あえて表現することで、はじめて意識に現れてくることが分かる。動きの結果としての「線」や、分ける役割としての「線」、あるいは骨組みとしての「線」という、線の機能が具体例をもって示される。 たとえば、ヴェルヌ「海底二万里」を、一種のロードムーヴィだと見切る。そして、ノーチラス号の旅路のダイアグラムを作りあげる。まず、小説内の描写を手がかりに、ノーチラス号が移動した軌跡を直線状にして

    「線の冒険」はスゴ本
    dance777
    dance777 2009/09/19
    "ヨコの線からタテの線、垂線、視線、放物線。動線・前線・骨組み線・旋回線、二分割線・線状人間と、「線」をめぐる鮮烈な体験"
  • リチャード三世+酒呑童子=「朧の森に棲む鬼」

    これはシビれる!あこがれるゥ! ときは乱世。死人(しびと)の山から、一人の男が現れる。名はライ。野心と欲望あふれ、嘘をまことと言い包める"舌先"を武器に、王になろうとした男の物語――ッ! この「嘘」がいいんだ。だいたい名からしてライ(Lie)なんてイカしてる。そして、その名に違わず上手な嘘をつきまくる。彼を偽り、彼女を騙り、話術と詐術と策略でノシあがっていく。絶体絶命のピンチを舌先三寸で切り抜ける。オンナとカネが大好きで、ハッタリかますのもっと好き。無理を通して道理を蹴っ飛ばす。嘘がホントになり当がウソに化ける変わる変化する。「オレを誰だと思ってやがるっ」すげぇぜアニキ! ん? どこかで訊いたこのセリフ――そう、この脚は、「天元突破グレンラガン」の構成を担当した中島かずき。これは「嫁と天元突破グレンラガン」で、よしぼうさんに教えてもらったおかげ、感謝、感謝、大感謝です。 性格はこのカミ

    リチャード三世+酒呑童子=「朧の森に棲む鬼」