このたび、『社会学研究』のアクターネットワーク理論(ANT)特集号が刊行されました。本特集は、2024年度の東北社会学研究会大会シンポジウム「アクターネットワーク理論と社会学的記述」での議論と成果をまとめたものです。私は巻頭言と論文を寄稿しています。この記事では専門外の方にも関心を持っていただけるよう、そのねらいや私の問題意識をわかりやすく解説します。 特集のねらいエコロジーの危機や社会的な分断が深まる今、社会学にはどのような役割が求められているのでしょうか。この問いに対し、ANTはこれまで、人間と非人間(モノや技術、自然とされるもの)を対等に扱う「フラットな記述」を提示してきました。それは、厳然としているようにみえる事実―「客観的な事実」―を、多様なアクター(モノも含む!)の関心(concern)が集まることで構築される交渉の場として描き直そうとする試みでした。これにより、今日の困難をも

