『宇宙の「果て」になにがあるのか 最新天文学が描く、時間と空間の終わり(ブルーバックス)』(戸谷友則/講談社) 宇宙は138億年前にビッグバンによって誕生し、今も膨張を続けている。その半径は我々を中心にして466億光年。光の速さで移動しても、それだけの時間がかかるという途方もない大きさだ。 面白いのはそれだけ巨大な宇宙にも、「果て」があるということだろう。その先にはどんな世界が広がっているのか? 普段意識することは滅多にないが、一度考え出すと気になって眠れなくなる疑問だ。 『宇宙の「果て」になにがあるのか 最新天文学が描く、時間と空間の終わり(ブルーバックス)』(戸谷友則/講談社)は、そうした人類共通の謎について、宇宙物理学者・天文学者の著者が分かりやすく解説を加えた「宇宙の果て」入門である。私は宇宙論や天文学についてまったくの素人だが、平易な文章に助けられ、スムーズに読み通すことができた
2018年7月20日(金)に、ドラマ「透明なゆりかご」の第1話が放送された。町の小さな産婦人科を舞台に描かれる命の物語は、「序盤から涙が止まらなかった」「命の儚さと重さを同時に感じられる」と反響を呼んでいる。 同ドラマは、漫画家・沖田×華が実体験を基に手がけた漫画を原作とした物語。清原果耶演じる主人公・青田アオイは高校の准看護科に通いながら、由比産婦人科で看護助手のアルバイトを始めることになる。アルバイト初日、アオイは病院の前で妊婦と遭遇。妊婦は産婦人科が休診日だと知ると引き返そうとするが、アオイの目の前でお腹を押さえて倒れてしまった。 妊婦は病院に運び込まれ、院長・由比朋寛(瀬戸康史)が診察することに。アオイも看護助手としての仕事をはじめ、別の患者のアウス(人工妊娠中絶)の処置を手伝う。初めて立ち会う中絶の現場にアオイは呆然としてしまうが、同じ日、同じ分娩室では出産も行われる。アオイは新
『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』(青山透子/河出書房新社) 「人は二度死ぬんだよ。一度目は肉体の死。(中略)そして誰ひとりとして自分のことを覚えていなくなったら、二度目の死を迎えて、人は死ぬんだよ」──こう語った永六輔氏が作詞し、中村八大氏が作曲した名曲「上を向いて歩こう」。 「SUKIYAKI」と改題され、Billboard Hot 100で3週連続1位(1963年6月15日~6月29日付けまで)を記録し、日本人だけでなく世界に愛された歌手となったのが、坂本九さんだった。 そんな坂本さんを含む、乗員乗客合わせて524名を乗せた、「日本航空123便(東京発大阪行き)」(以降、同機)が、約束の地大阪ではなく、群馬県多野郡上野村の山中に忽然と消えてしまったのは、1985年8月12日のことだった。 520名の尊い命が奪われるも、4名が奇跡的に生還した「日航123便墜落事故」
『歴史群像』(学研プラス) 武将萌えする歴女が増えたり、刀剣女子(ゲーム刀剣乱舞ファンの女性たち)が日本刀業界を活性化させたり、もはや「歴史物」は女子にも人気の一大ジャンル。当然さまざまな専門誌も出ているが、中でも注目なのが、このほど通巻150号を迎えた『歴史群像』(学研プラス)だ。年に数回の特別号の付録が毎回話題となる本誌。タイトルだけ聞くと、つい「戦国時代の武将とかいかにも大河なテーマや日本史ミステリ系が中心なのでは」なんてイメージしてしまうかもしれないが、実は『歴史群像』は「戦い」をより深く、詳しく考察する“ミリタリー・戦史Magazine”なのだ。 『歴史群像』の創刊は1992年。今人気の城や兵器、戦国時代、幕末から太平洋戦争まで、ローマ軍団、ナポレオン戦争から二度の世界大戦、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争まで、古今東西のさまざまな戦いを検証し、歴史の実相に迫ることコンセプトにしており、
2018年7月23日(月)に発売された『週刊少年ジャンプ』34号のセンターカラーに、『ONE PIECE』×『食戟のソーマ』の特別読み切り『食戟のサンジ』が掲載。読者の間では、「タイトルからして何故か面白いwww」と早くも大きな反響が巻き起こっている。 同作は、『ONE PIECE』に登場する麦わら海賊団のコック・サンジを主人公にしたグルメストーリー。『食戟のソーマ』を手掛ける附田祐斗・佐伯俊のコンビがストーリーと作画を担当し、料理研究家・森崎友紀も協力として参加している。今回描かれたのは、「海上レストラン バラティエ」での過去篇。 物語は“海を跨ぐ大舌”と呼ばれる巨体の女・サヴァランが、バラティエの料理に「美食というものへの侮辱だわ」とクレームを入れるシーンから始まる。ほとんど手をつけずに料理を残して帰ろうとするサヴァランに、全部食べるよう促すサンジ。そして挑発を続けるサヴァランへ、サン
『戦士に愛を』(三浦秀雄/双葉社) 戦争はなぜ起こるのか。歴史を振り返れば愚かしさや凄惨さは一目瞭然なのに、今も世界のどこかで行われている武力紛争。古代ギリシアの歴史家トゥキディデスは、戦争原因の3大要素には名誉心、恐怖心、利得心があると説いた。だが、時の為政者、あるいは国民感情が戦争を引き起こしたとしても、実際に戦うのは兵士たちである。 『戦士に愛を』(双葉社)は、近未来を舞台に戦争の生々しさを描いたミリタリーSF。元はニコニコ静画で三浦秀雄さんがあかさたな名義で連載していた作品で、現在は第2巻まで刊行中で、9月には第3巻が刊行予定だ。 ■人生を選べないまま戦争へと駆り出される“人造人”たち 主人公のウィズは“人造人”だ。人為的に作られたことを除けば、人間とそれほど見た目や能力に違いはない。だが、彼らは常に人間たちから差別と迫害を受けていて、劣悪な環境で働くことを強いられている。 舞台は
『製作委員会は悪なのか? アニメビジネス完全ガイド(星海社新書)』(増田弘道/講談社) 次々にヒット作が登場する日本アニメ。アニメファンとしては嬉しい反面、早い“商品回転率”ゆえ、流れについていくのに余裕がなくなっていたりする。 『製作委員会は悪なのか? アニメビジネス完全ガイド(星海社新書)』(増田弘道/講談社)によると、昔からある娯楽コンテンツ産業の中で、唯一成長し続けているのがアニメ産業だという。映画は1958年、出版(マンガ)は1995年、ゲーム(コンシューマーゲームソフト)は1997年、音楽(CD)は1998年にそれぞれピークを迎え、その後衰退している一方で、アニメだけは順調に伸び続け、2016年には市場規模が2兆円を突破している。 日本のアニメ産業が成長し続ける最も大きな要因は、アニメを観る層が全年齢に存在すること。これは、世界的に見ると非常に稀有な例。世界の常識は「小学校を卒
『ふつうの非婚出産 シングルマザー、新しい「かぞく」を生きる』(櫨畑敦子/イースト・プレス) 今年、上半期の大きな話題といえばカンヌ映画祭で是枝裕和監督の『万引き家族』がパルムドールを受賞したことだろう。国内でも映画は大ヒット。親子で万引きする底辺家族の暮らしは論争を巻き起こしたが、一方で必ずしも「血縁関係」をベースにしない一家の幸せそうな姿に「家族って何だろう?」と考えた人も多かったのではないだろうか。 高度成長期以来、日本では「夫が働き妻は専業主婦、子ども2人の4人世帯」を家計調査などで「標準世帯」としてきた。無意識に自分の理想もこれにあてはめていた方もいるのではないだろうか。だが少子高齢化が進む現在、こうした世帯はもはや日本の総世帯数の5%以下。現在は無業または有業の一人世帯が3割超と圧倒的で、婚姻等を介した複数メンバーによる家族がメインではない(大和総研調べ)。一般的な家族像なんて
子どもにとっては待ちに待った夏休み。しかし小学生の親にとっては、どこ行こう? なにしよう? と悩ましい時期ともいえます。そして、最大の難問は「自由研究」。自由すぎて子どもがテーマを決められなかったり、なかなかやり始めないなど、イライラ要素がいっぱい! 博物館は想像力を刺激する「骨」ワンダーランド! そんな自由研究のとっかかりになることを期待して、夏休みのお出かけ先に、みんなが訪問するのが博物館。数ある展示物の中でも子どもたちに人気なのは「恐竜」などの大きな骨格標本。長い年月をかけて化石となって、現代に姿を現すわけですが本当の姿はだれも見たことがありません。だからこそ、復元された標本や、肉付けされた想像した姿が展示されていることにワクワク……。 そもそも絶滅した大昔の生き物を復元することができるのは、発掘された「骨」があるから。この「骨」を見て、研究者たちがあーでもない、こーでもないと生きて
トップレビュー「悩みで胃が痛い」「大事なプレゼンの前にトイレに行きたくなる」…これらは腸と脳のつながりが関係していた!? 『腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか』(エムラン・メイヤー:著、高橋洋:訳/紀伊國屋書店) 学校や仕事に行くときに乗り物に乗ると便意を催すとか、大事なプレゼンやスピーチをする直前で、必ずトイレに行きたくなる人は少なくないだろう。このように、脳で考えたことが体に影響するということは、反対に体で起きていることが脳に影響することもあるのではないか。つねづねそんなことを考えていたら、『腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか』(エムラン・メイヤー:著、高橋洋:訳/紀伊國屋書店)という、まさに脳と腸の結びつきについて論じている本書と出逢った。 胃腸病学者である著者は「以下の記述は食事の会話のネタにしないほうがよい」と述べながら
『神社とお寺 おいしいお詣りスイーツ』(大浦春堂/講談社) 長期連休をとりやすいこれからの時期は、旅行で日々の疲れをリフレッシュさせたくなる。そんなときは、海外やSNS映えするスポットへ繰り出したくなる方も多いかもしれないが、今年は『神社とお寺 おいしいお詣りスイーツ』(大浦春堂/講談社)を参考にし、社寺を巡って、極上スイーツを味わう旅をしてみてはいかがだろうか。 神社やお寺と聞くと少し堅苦しい印象を受ける方もいるかもしれないが、こうした場所にはそこでしか食べられない絶品スイーツが数多くある。本書には老舗のお饅頭やお団子のような伝統和菓子や、おしゃれでお取り寄せ不可なケーキやスムージー、かき氷。本書にはそんな極上スイーツが味わえるスポットが掲載されている。 ■花の寺「長谷寺」と共に訪れたい絶景カフェ 神奈川県鎌倉市にある長谷寺は、四季を通してアジサイや牡丹といった美しい花々が咲き誇る花の寺
『ふしぎな県境 – 歩ける、またげる、愉しめる』(西村まさゆき/中央公論新社) ありとあらゆるものに「マニア」は存在する。ただ、さすがに「県境マニア」がいるとは知らなかった。しかし、都道府県の境目である県境を訪問し、記念写真を撮り、「もっと面白い県境はないか」と日々リサーチする人々は増えているらしい。そして、そんな県境マニアの活動を掘り下げていくと、意外にも「これは楽しいのではないか?」と思えてくるから不思議だ。 『ふしぎな県境 – 歩ける、またげる、愉しめる』(西村まさゆき/中央公論新社)はライターとして地図や地理についての記事を執筆し続けている著者による県境の紀行文である。そもそも「県境って何が面白いの?」と疑問に思っている人も、著者が語る県境の奥深さには引き込まれるはずだ。ただ、身内ですらときには呆れかえってしまうというほどの著者の県境に注ぐパワーには、置いてけぼりをくらわないように
『人殺しの息子と呼ばれて』(張江泰之/KADOKAWA) 子どもは親を選べない――。この言葉の重みは、“彼”が一番理解しているかもしれない。 2002年、北九州連続監禁殺人事件がメディアで報じられた。この事件の主犯が、松永太死刑囚と緒方純子受刑者だ。その凄惨さは日本の犯罪史上でも類を見ないほどで、報道規制がかけられた。ネット上で調べるといくらでも出てくるだろうが、目にしない方が賢明だろう。 ぞっと悪寒が走るような事件の裏で、ある子どもたちが警察に保護されていた。松永と緒方の、兄と弟の息子2人だ。 『人殺しの息子と呼ばれて』(張江泰之/KADOKAWA)は、フジテレビ『ザ・ノンフィクション』のチーフプロデューサー・張江泰之さんが、この番組の収録で兄に行ったインタビュー内容をありのままに記した1冊。人殺しの親から生まれた“彼”が体験した壮絶な人生と、25歳の青年になった今だからこそ抱く思いに、
『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術――世界の一流が学ぶ77のルール』(渡辺龍太/ダイヤモンド社) ハリウッド映画を見ていると、よくジョークを言っていると感じる。ニュースを見ていても外国の要人はうまいことを言っているのを目にする。どうやら欧米人はジョークやユーモアを日常生活の中で多用しているようだ。ああいう気の利いた返事やツッコミができればなぁ、と思ったことのある人は多いのではないだろうか。実はそうした会話対応力は、センスや能力の問題ではなく、訓練によって鍛えることができるとしたら、どうだろう? 自分の会話力に不安がある人におすすめなのが『1秒で気のきいた一言が出るハリウッド流すごい会話術――世界の一流が学ぶ77のルール』(渡辺龍太/ダイヤモンド社)である。 本書は「台本のない状態に慣れることが、生き方やビジネスにも役立つ」という趣旨のもと、即興で対応できる会話力=インプロ
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