関西に住む人なら一度は行ったことがあるだろう、あの万博記念公園(大阪府吹田市)の壮大な森を創った造園家である。高度経済成長時代の真っただ中、当時の万博記念協会が会場跡地100ヘクタールを30年で自然の森に返すという英断を下したのは、まさに奇跡だった。吉村氏はそう述懐する。 けれども万博公園の奇跡はそれに留まらない。何より、その大事業が弱冠三十余歳の新進造園家に任されたこと。当時の公園の常識ではタブーだった柵のない水辺や、治安の面で問題になりかねない密生林の配置などの意欲的な設計が、幸運にも所管が大蔵省(当時)だったことで、ほぼすべて認められたこと。そして255種、60万本の樹木が植えられた公園は驚異的なスピードで生物多様性を回復させ、いまやほぼ自立した森になっているのだ。 公害と自然破壊が当たり前だった時代、緑や水を扱う造園家はなにかと時代に抗うことを余儀なくされ、自ずと文明論的な視野に行
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