独裁官(どくさいかん)、ディクタートル(ラテン語: dictātor)は、共和政ローマの政務官。あらゆる領域に及ぶ強大な権限を有する政務官であり、国家の非常事態に1人だけ任命された。「独裁者」の語源。 ローマにおける行政の長は、毎年2人任命される執政官(コンスル)であった。しかし、外敵の侵入や疫病の流行、政治的混乱など、国家の非常事態が発生した場合、権力が分散されているのは非効率的である。そこでローマは、そういった場合にはただ1人に強大な権限を与えて事態に対処させることとした。これが独裁官が誕生した理由である。ただし、任命された者が無制限に権力を行使しないように、その任期は短期間(通常6箇月)とされていた。独裁官は、ローマの元老院が非常事態と認定した時、元老院の要請によって執政官が指名した。 通常時の全ての政務官は独裁官の下に置かれ、独裁官の決定は護民官の拒否権によっても制限されないものと