株価1万円をめぐる攻防:松本大(マネックス証券社長)(1) 2009年5月12日(火)08:00 じわじわと燃料が充填 3月半ばから日本株は急角度で上昇し、一気に9000円台を窺う動きを見せた。なぜそのようなピッチで揺り戻しが起こったか。まずはその分析から本稿を始めてみたい。 実体景気については、まだまだ厳しい状況が続くだろう、と私は考えている。現状は底を越えた、という印象だ。少なくとも、新しい「ビッグ・ネガティブ・サプライズ」が出てくる雰囲気はない。しかし生産設備や人的設備などの需給ギャップを埋めるのは、それほど簡単なことではないだろう。事はアメリカだけではなく、世界にまたがる問題で、全世界の需給ギャップが解消するには案外時間がかかるかもしれない。 しかしそのような状況下、金融機関などを守るため、先進国を中心にして大規模な財政出動が行なわれている。4月に行なわれた金融サミット