さて長々と記してきた1話の回顧もここまでとなる。 最後のくだりについては、もうシナリオ云々ではなく、中村隆太郎監督の演出パワーに尽きるのだが、言及しておかねばならないのが、鶴岡陽太音響監督と音響効果の笠松広司氏の作り上げる音響デザインである。 シナリオでは確かに電線が「わーん」と音を唸らせるという描写は書いたものの、普通の住宅街の電線に音が鳴っていたら生活出来る筈がない。 玲音は電波/電線過敏症なのだというイメエジでの描写だったから、どんな効果音がついても構わなかった。 しかし笠松さんは変電所まで行ってコイルが唸る音を録音してきた。 シナリオにもコンテにもない、ハードディスクがシークする微かな音もつけてきた。 「serial experiments lain」は決してカルトな作品にしようという意図を抱いていた訳では無いが、カルト的な要素があるとするなら画面以上に音響のもたらすトランス感は大