時代を積み重ね,未来を映し出すPOCUSの可能性 対談・座談会 亀田徹,西田睦,辻󠄀本真由美 2024.03.04
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時代を積み重ね,未来を映し出すPOCUSの可能性 対談・座談会 亀田徹,西田睦,辻󠄀本真由美 2024.03.04
【対談】 障害の当事者になるということ 言語聴覚士が見た,高次脳機能障害の世界 岩田 誠氏(メディカルクリニック柿の木坂院長/東京女子医科大学名誉教授) 関 啓子氏(三鷹高次脳機能障害研究所所長/神戸大学大学院保健学研究科客員教授) 言語聴覚士(ST)の関啓子氏は,約4年前に脳梗塞を発症。それまで研究の対象としてきた高次脳機能障害を,自らの身で体験することとなった。専門家として,そして当事者として“内側から”みた障害のある世界は,どのようなものだったのだろうか。神経内科医として,脳と,五感の働きや言葉との関係を長年にわたり見つめてきた岩田誠氏とともに,関氏の発症から,今日までの回復の軌跡をたどってみたい。 岩田 関先生が脳梗塞になられたことは伺っていたのですが,具体的な病状は知らず,ご著書『「話せない」と言えるまで――言語聴覚士を襲った高次脳機能障害』(医学書院)を拝読して驚きました。発症
【寄稿】 臨床医と研究者の距離を埋める Academic GP 錦織 宏(京都大学医学研究科医学教育推進センター・准教授) 総合診療医へのニーズの高まり 近年,総合診療医に対する関心が高まりつつある。背景には2025年に65歳以上人口が3割を超える急速な高齢化への対応という喫緊の課題もあるが,NHKのテレビ番組「総合診療医ドクターG」によって一般市民のレベルにまでその認知度が上がりつつあること,また厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の最終報告書(2013年4月22日)において,総合診療医を19番目の基本領域の専門医とすることが明記されたことなどもその一因だろう。さらに,文部科学省の未来医療研究人材養成拠点形成事業でも,本年度のテーマの一つとして「リサーチマインドを持った総合診療医の養成」が取り上げられている。 一方,研究および教育,さらに人事交流の拠点である大学においては,総合診
上田 敏(日本障害者リハビリテーション協会顧問) ◆リハの源流とこれから 今回,50年前の1963年にわが国にリハビリテーション(以下,リハ)医学が誕生する前後の事情と,100年前にまでさかのぼって見えた世界と日本の歴史的背景,リハ医学誕生から今日に至るまでの50年間の歩みを概観し,さらにはこれからの在るべき姿を考察したものを一書にまとめる機会を得た(『リハビリテーションの歩み――その源流とこれから』,医学書院,2013年6月発行予定)。 50年前の1963年に起こったのは,(1)日本リハ医学会の結成(9月),(2)日本最初の理学療法士・作業療法士学校の開校(清瀬の国療東京病院附属リハ学院,5月),(3)日本最初の大学病院におけるリハ診療部門の発足(東大附属病院中央診療部運動療法室,7月)であった。リハ医学の「三位一体」を成す,診療・教育・研究の3者が同じ年に次々と発足し,まさに「記念すべ
【interview】 超高齢化時代のリハビリテーション 量的拡大から,質的向上へ 伊藤 利之氏(横浜市総合リハビリテーションセンター顧問)に聞く 超高齢社会を迎え,ますますニーズが高まるリハビリテーション(以下,リハ)。需要の増大に伴い,回復期リハ病棟や老人保健施設,訪問系サービスなどをはじめ,さまざまな場でリハにかかわる医療者が増加している。 本紙では,『今日のリハビリテーション指針』(医学書院,6月発行予定)の編集を務めた伊藤氏に,これまでのリハの歩みとともに,現在の需要増大によって生じている問題点や,リハ医学の今後の課題について話を聞いた。 かつて“後療法”“後始末屋”と呼ばれて ――2013年は,リハ医学会の創立50周年に当たる年ですね。 伊藤 ええ。この50年間で,リハの位置付けは大きく変わったと感じます。 私が大学を卒業しリハ医学を志した1970年ごろは,医学界においてリハの
論文解釈のピットフォール 【第9回】 臨床試験のエンドポイントを読む――「心血管イベント」はみな同じ? 植田真一郎(琉球大学大学院教授・臨床薬理学) (前回からつづく) ランダム化臨床試験は,本来内的妥当性の高い結果を提供できるはずですが,実に多くのバイアスや交絡因子が適切に処理されていない,あるいは確信犯的に除 去されないままです。したがって解釈に際しては,“ 騙されないように” 読む必要があります。本連載では,治療介入に関する臨床研究の論文を「読み解き,使う」上での重要なポイントを解説します。 臨床試験のエンドポイントを読む-複合エンドポイント解釈の難しさ 前回は,エンドポイントはいわば臨床試験における,例えばある薬剤の優越性を決める際のルールであり,診療への応用を考える上で最も大切なものであるということをお話ししました。本来動脈硬化性疾患では,「脳卒中」「心筋梗塞」「死亡」といった判
佐藤 元美(一関市国民健康保険藤沢病院・事業管理者) 住民と医療者が語り合うことで,地域医療をつくり,育てることができそうです。岩手県一関市にある一関市国民健康保険藤沢病院では,1994年から19年間,地域住民と医療者が話し合う「ナイトスクール」を続けてきました。また,2008年からは,研修医の研修報告会に病院スタッフだけでなく,地域住民も参加できる「意見交換会」を開催しています。本稿ではこれらの取り組みを紹介します。 予防から介護,一体型のサポートを望んで 自治医大を卒業してから13年目の1992年,私は岩手県立久慈病院で主に呼吸器内科を担当していました。その夏,故郷でもある隣町の藤沢町から「新たに病院をつくり,医療を中心に予防から介護まで一体的な運営をしたいので来てほしい」という依頼を受けました。当時の藤沢町は,町にあった県立病院を失ってから25年間,「病院のない町」として苦労を重ねて
【寄稿】 社会の力を最大化する「顔の見える関係」 緩和ケアプログラムの地域介入研究(OPTIM-study)を終えて 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科部長) 本年3月,緩和ケアの大規模研究OPTIM-study(Outreach Palliative care Trial of Integrated regional Model,厚労科研第3次対がん総合戦略研究事業「緩和ケアプログラムによる地域介入研究」)が終了し,成果がまとめられた1-3)。国内4地域(山形県鶴岡市,千葉県柏市・我孫子市・流山市,静岡県浜松市,長崎県長崎市)を対象としたOPTIM-studyは,緩和ケアプログラムによる患者アウトカムの改善を検討した国際的にも最大規模の地域介入研究である(図1)。近年さかんに勧められているmixed-methods studyとして,「何が変化するか」(量的研究)と「変化はなぜ生
レジデントのための Evidence Based Clinical Practice 【4回】貧血へのアプローチ 谷口俊文 (ワシントン大学感染症フェロー) (前回よりつづく) ここでは,普段見過ごしやすい貧血へのアプローチをみていきたいと思います。ヘモグロビン値が若干低く,漫然と鉄剤が処方されている症例を見かけることがあるかと思います。ひとつの病態としてプロブレムリストに挙げ,しっかりとワークアップをしてみましょう。 ■Case 68歳の女性で高血圧,糖尿病,3年前に心筋梗塞の既往がある。高血糖と呼吸苦のために入院した。以前の心電図と比較して変化はみられないが,トロポニンがわずかに上昇。非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)と診断された。ヘモグロビン(Hb)値が8.4g/dLと低いために輸血を行うことにした。 Clinical Discussion 貧血は輸血によりHb値を是正することは可
2013年5月×日(7) S)先月の咳が治らない,鼻汁(±),全身症状(-),周囲流行(-)。歓迎会や部署異動ストレスで2 kg太ったが,食事は元に戻せた。タバコ吸いたくならない。 O)BP126/78。BW62.4 kg,禁煙・食事について意欲的に語っている。(8) 重篤感なし,RR<20,HR72,BT36.8。鼻すすり・鼻声(+),副鼻腔打診痛(-),咽頭発赤軽度・後鼻漏(+)。 A)#1.禁煙実行期:禁煙4か月目,誘惑の多い時期も乗り切り自信度大。 #A.健康管理:8月に乳がん検診予定。 #h.急性咳嗽:毎年5月・後鼻漏所見から白樺花粉症による後鼻漏症候群を疑う。 P)Tx)アムロジピン2.5 mg/日継続,フルチカゾン点鼻追加。 Dx)来月採血再検,8月にがん検診。 Ex)禁煙・食事療法続けられていることを承認・支援した。新しい職場で無理しないように。次回,看護師生活指導枠予約。
【寄稿】 "モノ"と"質"の服薬管理 病院薬剤師の役割とは 門村 将太(札幌社会保険総合病院 薬剤部) 「服薬管理」と聞いて,皆さんはどんな仕事を想像するでしょうか。一般的には調剤方法や飲ませ方などが取り上げられることが多いと思いますが,私は,2つの「管理」があると考えます。1つは今述べたような医薬品,つまり"モノ"の管理です。もう1つは薬物療法の適正化,"質"の管理です。服薬管理においては,後者の評価が不十分であると根本的エラーが解決しません。 臨床における薬剤師によるケアは「ファーマシューティカルケア」と呼ばれ,薬物関連問題(medication-related problems,MRPs)(表)を発見し解決することが求められます1)。本稿では,主に病院薬剤師による院内での服薬管理とMRPsについて述べたいと思います。 患者が入院時に持参する薬に関しては,入・退院時における薬剤の不一致
曽根 智史氏(国立保健医療科学院 企画調整主幹・国際協力研究部長)=司会 佐々木 隆一郎氏(長野県飯田保健所所長/全国保健所長会会長) 加藤 静子氏(埼玉県保健医療部保健医療政策課副課長/全国保健師長会会長) 中板 育美氏(日本看護協会常任理事) 地域の健康課題を一手に担う保健師。求められる業務は幅広く,膨大だ。近年,地域住民ニーズの多様化・高度化,地域における保健師活動体制の改編など,保健師を取り巻く環境は大きく変化しているという。現場ではどのような変化が見られ,その変化に対応するためにはどんな保健師が求められるのか――。 地域保健の実践や,保健師の人材育成に携わる,異なる立場の4氏が,現場の変化と背景にある課題を読み解き,地域の健康を守ることのできる人材をどのように育成していくべきかを議論した。 被災地で示された保健師の力 曽根 2011年3月11日に発生した東日本大震災の後,被災地に
【寄稿】 地域に卒後教育の種を蒔き,根付かせる! Kan-fed勉強会デリバリーシステム 朴澤 憲和(市立堺病院総合内科) 片岡 裕貴(兵庫県立尼崎病院呼吸器内科) 佐田 竜一(天理よろづ相談所病院総合内科) 関西若手医師フェデレーションとは? 関西若手医師フェデレーション(以下,kan-fed)1)は,若手医師のアカデミックな交流と卒後医学教育文化の共有・活性化をめざし,2008年4月に発足した。「おもろい,そして勉強になった」をコンセプトに,実践的な思考法を学ぶ機会として,現在までに10回のケースカンファレンスと3回のショートプレゼンテーション大会(「チキチキkan-fed小ネタ集」)を開催している。主な対象は初期研修医だが,医学生や後期研修医,「気持ちが若手」な5年目以上のスタッフ医師も参加が可能。現在までに岩手から沖縄までの延べ90以上の施設から参加がある。 Kan-fedの特徴
ローレンス・ティアニー氏(カリフォルニア大学サンフランシスコ校教授) 金城 紀与史氏(沖縄県立中部病院総合内科)=司会 金城 光代氏(沖縄県立中部病院総合内科) 岸田 直樹氏(手稲渓仁会病院総合内科・感染症科) 臨床における診断の奥深さや醍醐味を伝え,日本の医療現場にも大きな影響を与えているローレンス・ティアニー氏。 本座談会では,多くの患者と多様な疾患に出合う一般内科外来において,「限られた条件と時間」のなかで「危険を見逃さず」,さらに「患者と手を携えて」診療していくコツを,総合内科医,指導医として活躍する金城紀与史,金城光代,岸田直樹の3氏とともに語っていただきました。 金城(紀) 「限られた条件と時間」のなかで行わなければならない一般内科外来は,「すべてを漏らさず網羅的に」という視点を持ちながらも,効率的に診断をしていくことが求められます。そこでは,重症度や頻度といった診断の軸を考慮
なかなか教えてもらえない 看護研究発表の「キホン」と「コツ」! 【第1回】 少しの工夫であなたの研究は見違える! 研究結果を十分に伝えられていますか? 新美 三由紀(佐久総合病院看護部) ナースのみなさん,学会や研究会で研究発表をした経験はありますか?研究結果は,十分に参加者(聴衆)に伝えられましたか?そもそも研究計画書を倫理審査委員会に提出するところで苦労していませんか? この連載では,みなさんが少しでも「研究してみたいな」とか「もっと発表してもいいかな」と思ってもらえるよう,研究発表のキホンとコツをギュッと凝縮してすぐに使えるノウハウを解説します。 研究発表には「お作法」がある 看護研究の一般的な方法は教わっても,研究発表の仕方や研究計画書の書き方を系統的(ここがポイント!)に教わる看護学校や大学は少ないのではないかと思います。私も,看護学生時代や臨床看護師として働いていたとき,研究計
「型」が身につくカルテの書き方 【第4講】 カルテ記載の基本の型 SOAP(3) 佐藤 健太(北海道勤医協札幌病院内科) (2993号よりつづく) 「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる」(by立川談志)。 本連載では,カルテ記載の「基本の型」と,シチュエーション別の「応用の型」を解説します。 急性疾患初診時のカルテ記載例(S・Oは省略) 【初期評価(=Assessment)】 #1.ACS 多重する心血管リスクを認める患者の,冷感と嘔気を伴い30分以上持続する胸部絞扼感。心電図異常と心筋逸脱酵素上昇を伴いACSの基準に合致する。鑑別診断は心膜心筋炎,たこつぼ型心筋症,心筋以外からの酵素逸脱が挙げられるが,○○の理由で可能性は低いと見積もっている。いずれにしてもACSの検査治療目的で心カテーテル検査は行うため,このときの
看護師のキャリア発達支援 組織と個人,2つの未来をみつめて 【第2回】 組織ルーティン 武村雪絵(東京大学医科学研究所附属病院看護部長) (前回よりつづく) 多くの看護師は,何らかの組織に所属して働いています。組織には日常的に繰り返される行動パターンがあり,その組織の知恵,文化,価値観として,構成員が変わっても継承されていきます。そのような組織の日常(ルーティン)は看護の質を保証する一方で,仕事に境界,限界をつくります。組織には変化が必要です。そして,変化をもたらすのは,時に組織の構成員です。本連載では,新しく組織に加わった看護師が組織の一員になる過程,組織の日常を越える過程に注目し,看護師のキャリア発達支援について考えます。 看護師の熟達に関する研究といえば,やはりBennerの功績が大きい1)。彼女はDreyfusらのモデル2)を用いて,課題の理解の仕方や意思決定の方法が5段階(初心者
第3回日本プライマリ・ケア連合学会が,9月1-2日,福岡国際会議場(福岡市)で開催された。大会テーマは「プライマリ・ケアによるパラダイム・シフト――さらなる前進への第一歩」。このほど同学会理事長に選出された丸山泉大会長(豊泉会丸山病院)のもと,日本のジェネラリストが足並みをそろえ,その地位の確立へ一歩を踏み出すべく,“連携”をキーワードとしたプログラムが多く組まれた。 メインシンポジウム「英国の家庭医療を知り日本の家庭医療の未来を模索する」(第一部:座長=福島医大・葛西龍樹氏,丸山氏,第二部:座長=北海道家庭医療学センター・草場鉄周氏,丸山氏)では,英国の家庭医(GP)の在り方に学び,日本の文化に即した家庭医療を作り上げる策が議論された。 英国の家庭医療に学ぶ 第一部ではまず武田裕子氏(ロンドン大キングスカレッジ)が,最近の英国医療を概説。英国では国営医療サービス(NHS)によりほぼ無料で
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