米国とロシアが緊迫の度合いを高めている。ロシア軍の爆撃機や戦闘機が連日、米アラスカ州の周辺空域を飛行し、ロシア国内では「アラスカ奪還論」も出始めた。一方、在モスクワの米国大使館は米国人に即時出国を求めている。ウクライナへの戦闘機供与問題や海底パイプライン爆破事件も火種となり、「米露対立」は不測の事態を招くリスクをはらむ。 ◇ 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は16日、ロシア軍の長距離戦略爆撃機「ツポレフ95」や、戦闘機「スホイ35」など4機が14日に米アラスカ州の防空識別圏に接近したため、F35戦闘機を発進させて対応したと発表した。13日にも4機が防空識別圏に入り、F16戦闘機が対応したばかりだ。 米海空軍や沿岸警備隊の基地があり、「米国防衛の最前線」とされるアラスカ州の「奪還論」を口にする強硬派もいる。米誌ニューズウィークによると、ロシアのシンクタンク、中東研究所のエフゲニー・スタノ