8年間の監督生活の中で、短期決戦に勝つための非情さを身につけた。 だが今年は、落合にも計算できない力が働く。それは選手の“心”だ――。 落合竜は短期決戦に強い――。こう言われるようになったのはいつからだろう。おそらくこれは、リーグ2位から53年ぶりの日本一まで駆け上がった'07年に起因している。CS第1Sで阪神に2連勝、続く第2Sでは巨人に3連勝で日本シリーズへ進出した。特に巨人との第2Sの第1戦では、リリーフだった小笠原孝を中3日で先発させ、相手の度肝を抜いた。巨人ベンチに「無茶苦茶だ!」と言わしめたサプライズ先発で勝利すると、そのまま一気に押し切った。 そして極めつけは、その勢いで戦った日本シリーズ。王手をかけた第5戦、1-0の9回、完全試合ペースだった先発山井大介を岩瀬仁紀に交代させた。勝つために、人間はここまで情を捨て去れるのか――。勝利だけに徹した、この采配のインパクトはあまりに
![<智将、最後の挑戦> 落合博満 「非情を超える激情で」(鈴木忠平)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/cde9113a2dc51725fc84c016c89f604141869b84/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F6%2F9%2F-%2Fimg_69193d922dc014273dc75be47ab5f930288404.jpg)