東京・晴海を出てから5日目の15日夕、太平洋戦争の激戦地、フィリピン・レイテ湾に近い太平洋で洋上慰霊祭が行われた。自衛艦「しらせ」にとって、南極の昭和基地へ向かう際には欠かせない行事だ。 日没間近、正装した乗組員が飛行甲板に整列。日本から乗り込んだ第52次南極観測隊4人もネクタイを締めて参列した。 式典が始まると、海に発煙筒が投げ入れられた。オレンジ色の船体は低く長くのびる白煙を中心に、右回りにゆっくりと航行。「海ゆかば」が流れる中、中藤琢雄艦長らが供物をささげた後、参列者全員で黙●(=示へんに寿の旧字体)(もくとう)して犠牲者の霊を慰めた。 最後に暗闇迫る空に向かって、儀仗(ぎじょう)隊が弔銃(ちょうじゅう)を放つと、閃光(せんこう)と同時に空砲の発射音が響き渡った。普段は慌ただしい艦内だが、この日だけは厳かな空気に包まれていた。(写真報道局 芹沢伸生)=随時掲載