キックオフイベントで大漁旗を手に抱負を述べた菅原茂・気仙沼市長（中央）やフィッシャーマン・ジャパンのメンバーら＝宮城県気仙沼市で 東日本大震災後、就業者数の減少と高齢化に直面する水産業の担い手を増やそうと、気仙沼市は、一般社団法人「フィッシャーマン・ジャパン」（石巻市、ＦＪ）と連携し、漁師希望者の定着支援を始めた。市内の漁業者はこの１５年で約６割減少。地域外から新規に志す若者の確保が急務になっている。 定着支援事業は、石巻市で新規就業者を迎えた実績のあるＦＪに気仙沼市が依頼し、希望者と地元の漁師をマッチングする。市とＦＪ、県漁協が参加。市魚市場前で早朝から入れる銭湯や食堂を運営し、漁師が暮らしやすい街づくりを目指す一般社団法人「歓迎プロデュース」が、就業希望者の相談窓口を引き受ける。 １０月に気仙沼市・唐桑半島で１泊２日の秋サケの刺し網を行う短期研修を行うほか、東京で開かれる就業支援フェア

写真家の幡野広志さんが気仙沼の漁師に１年間密着し、撮り下ろした写真と文章が掲載されたカレンダー＝東京都渋谷区で、２０２０年７月２４日、神内亜実撮影 気仙沼の漁師に写真家が１年間密着して製作する「気仙沼漁師カレンダー」。２０２１年版カレンダーの撮影を担当した写真家の幡野広志さん（３７）の展覧会「幡野広志、気仙沼の漁師を撮る。」が渋谷パルコ（東京都渋谷区）で開かれている。８月２日まで。【神内亜実】 カレンダーは、気仙沼の女性たちが「漁師の魅力を発信し、担い手探しや気仙沼に足を運んでもらうきっかけにしたい」と企画し、１３年に始まった。これまで藤井保さん、浅田政志さん、川島小鳥さんらが撮影してきた。幡野さんも出会った漁師たちの姿や、四季折々の海や港を撮り下ろした。 会場では、カレンダーの実物やレイアウト見本を手にとることができ、未掲載の写真も展示。大崎市で育ち、昨春に都内へ移り住んだ佐藤真衣さん（

若手漁師らでつくる石巻市の一般社団法人「フィッシャーマン・ジャパン」は、ブランド魚「金華サバ」の骨を抜いた加工品などのインターネット販売を始めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で取引先が減った市内の水産加工会社を支援する企画で、漁業に関心を持つ県内外の大学生が協力。「プロ向けの豪華な魚介類を家庭で楽しんでもらいたい」としている。 「加工屋さんのおさかなアウトレット便」と題し、季節限定を含め約１０種類の商品を用意した。銀ザケの切り落としやホタテの貝柱などが入り、価格は送料別で１９８０～７９８０円。普段は海外に輸出されたり、東京都内のホテルに卸されたりする高級品ばかりだという。 同法人は東日本大震災後の２０１４年７月に設立された。三陸の水産業復興に取り組み、被災地の漁業関係企業で学生が職場体験するインターンシップも企画している。 今回のネット販売に当たり、過去にインターンシップに参加した大学

関東で唯一の小型沿岸捕鯨基地である千葉県南房総市和田町の和田漁港で２１日、ツチクジラが今季初水揚げされた。 同市の捕鯨会社「外房捕鯨」が２０日正午ごろ、銚子沖で捕獲。体長約１０・６メートルで、肉を熟成するため１８時間海中に置き、２１日午前５時半過ぎに引き上げた。 同社は昨年、日本が国際捕鯨委員会（ＩＷＣ）脱退に伴い再開した商業捕鯨のミンククジラ漁にも参加しているが、ツチクジラはＩＷＣの規制対象外。２６頭を上限に捕獲する予定という。【平井桂月】 〔都内版〕

【石垣】石垣市漁業集落は13、14の両日、石垣島近海でサメ駆除に取り組んだ。2日間でイタチザメやツマジロ、オオテンジクザメなど合計で145匹を捕獲した。 石垣漁港では14日、最大で体重358キロ、体長367センチのイタチザメなど、捕獲されたサメが次々と水揚げされた。見物に訪れた地元の保育園児や観光客らは「大きい」「怖い」などサメの姿に驚きの声を上げた。 市漁業集落のグループの一つである八重山漁協一本釣り研究会の宮里吉男会長は「魚の値段が低迷する中、サメ被害が重なり大変だ。ことしは被害が多い印象がある。これから2週間ぐらいは効果があるだろう。予算があれば年間5、6回は実施したい」と話した。 ◆試食で意外？な高評価　「臭くなくおいしい」　駆除サメでかまぼこ試食会 【石垣】駆除されたサメが水揚げされた石垣漁港にある八重山漁協敷地内では14日、捕獲されたイタチザメの新鮮な肉を使ったかまぼこの試食会

県内でまひ性貝毒が猛威を振るい、ホタテが出荷できない状況が続いている。新型コロナウイルスの影響も重なり、漁師は「東日本大震災の壊滅的な打撃から復興し、ようやく勢いに乗ってきたのに痛手だ」と肩を落としている。 「これからお中元の時期で、待ってくれているお客がいるのに」。山田町でホタテやカキを養殖する漁師、中村敏彦さん（４８）は、６月２日からまひ性貝毒でホタテ出荷の自主規制を余儀なくされている。 新型コロナの影響で首都圏などへの流通が滞る中、出漁すらできなくなり「漁に出ないと結果はついてこない。貝毒が原因じゃそれすらままならない」とため息をつく。 この記事は有料記事です。 残り441文字（全文716文字）

かつて日本海沿岸に繁栄をもたらしたニシンだが、一時は激減し、幻の魚ともいわれた。漁を活性化しようと１９９６年に始まった稚魚放流は今年２５年目で、現在の漁獲量を下支えしている。ニシンを巡る四半世紀の取り組みを振り返った。【三沢邦彦】 ◆育てる漁業 白波の立つ海から暖かい強風が吹き付ける中、６月上旬の石狩湾新港で体長６センチほどの稚魚が水槽を積んだトラックから放流されていた。漁協関係者からは「今年の稚魚は昨年のより元気がいいな」との声が上がった。 稚魚放流は、道の「日本海ニシン資源増大プロジェクト」として始まり、産卵場所の形成と放流後の資源管理と並ぶ３本柱の一つ。２００８年からは漁協などを中心とした「日本海北部ニシン栽培漁業推進委員会」が引き継いだ。放流数は年間約２００万尾。範囲は宗谷、留萌、石狩、後志地方にまたがり、０８年からは後志南部から檜山地方でも実施されている。 この記事は有料記事です

兵庫の食として誇れる存在の焼きあなごは、手土産や、ハレの日の食卓になくてはならないものです。 一方で、「ひらき３年、串うち３年、焼き８年」とも言われ、家庭ではなかなか扱える存在ではないのも確かです。 昔、漁師町の夕暮れ時、七輪にいこされた炭火の上でアナゴを焼き、つけだれが炭に落ちてはね、食欲をそそる匂いが周りにまん延したものでした。 近年、アナゴの水揚げ量が落ち、手に入れにくいほど高価になってしまいましたが、夏季は水揚げ量の増える旬にあたりますので、家庭でできる焼きあなごはいかがでしょう。 この記事は有料記事です。 残り510文字（全文758文字）

漁獲した花咲ガニを岸壁で水揚げする漁業者＝北海道根室市の花咲港で２０２０年７月１１日午前６時４７分、本間浩昭撮影 北海道根室半島沿岸の花咲ガニかご漁が解禁され、漁船９隻が１１日、根室市の花咲港に約３トンを初水揚げした。 第１５美沙緒丸（４・９トン）の佐藤洋一船長（７０）は「海がしけなければカニは動き出さない。（新型コロナの影響で）値段も安いだろう」とさえない表情だった。雌の競り値は前年比約４割安の１キロ２６４…

国際自然保護連合（ＩＵＣＮ、本部・スイス）は９日公表した最新のレッドリストで、マツタケや、沖縄などで食用にされているヤシガニを新たに絶滅危惧種に認定した。ランクはいずれも、絶滅のリスクが増大している「絶滅危惧Ⅱ類（危急）」で、３段階の中では最も低い。２０１４年にリスクが２番目に高い「絶滅危惧ⅠＢ類（危機）」に分類されたニホンウナギは、再評価した結果、絶滅に近づいているとはいえないとして据え置かれた。 日本の環境省のレッドリストでマツタケは「準絶滅危惧」に分類。ＩＵＣＮによると、日本、中国、韓国で生息地が深刻に減少しており、日本での主な脅威は共生するアカマツの病気や森林管理の慣習の変化だとしている。

先日、宮城県内で中古の空き家物件を二つ見に行った。両方とも市街地の土地付き一戸建てで、価格は３００万円ほど。築５０年以上の古い家ではあるけれど、昔ながらの木製建具がかわいらしく、また、長きにわたって人が大切に住んできた家特有の、穏やかで落ち着いた雰囲気に満ちている。ちいさな庭がついていて、居間から眺められるのもうれしい。 都会で暮らしていると、３００万円で庭付き一戸建てを買えるなんて夢にも思わないだろう。それが地方へ行くと可能になる。可能どころか、歓迎されることが多いかもしれない。少子高齢化や人口減少に加え、地方では空き家の増加が問題になっているためだ。 この記事は有料記事です。 残り425文字（全文706文字）

気仙沼市にアジサイの隠れた名所がある。山の斜面が約１万株のアジサイで一面ブルーに染まる「赤坂公衆園」。山の持ち主の男性が一人で挿し木を続け、毎年この季節に見事な花を咲かせるようになった。 アジサイを咲かせるのは、藤田清二さん（８０）。約２０年前に自営業の家電販売を辞め、「親子連れや地元の人が楽しめる公園をつくりたい」と造成を始めた。２年かけて山の杉をチェーンソーで１本ずつ切り倒した。元々花好きで「花であれば… この記事は有料記事です。 残り310文字（全文516文字）

県は３０日、まひ性貝毒の検出に伴い実施していたホヤの出荷自主規制について、石巻市と女川町にまたがる３海域で解除した。２５日には気仙沼市と南三陸町の４海域でも解除されており、４４日ぶりに全海域で出荷できるようになった。 ３海域は石巻市の追波湾と雄勝湾、同市と女川町の女川湾・牡鹿半島東部。５月１８日に… この記事は有料記事です。 残り190文字（全文340文字）

通称「じゃみだこ」と言われる、まだまだ手のひらに乗るほど小さいタコの水揚げ量が一気に増えると、海は本格的な夏を迎えます。 タコは小さいと、身が軟らかいのですが、成長に伴ってかみ切れないほどの弾力となるのが、明石ダコに代表される兵庫内海のマダコの特徴です。 「硬い」とまで言われるほどの食感を生かし、生から作った刺身や、ゆでタコぶつは、他産地ものにはない味わいです。一方、くちどけやさしいやわらか煮を好まれる方も多く、長くタコを楽しんできた食文化がうかがえます。 タコは生のまま調理すると柔らかくなりにくいので、一度冷解凍してから調理を始めます。冷凍することで体表のヌメリが取れるのですが、洗っただけでは取れにくい吸盤内などに残ったものまできれいに取り除くためには、一口大にカットした後、たっぷりのお湯で湯通しします。白く見えるように浮き上がったヌメリは雑味と臭いの元となりますので、流水でもみ洗いして

伊根町立本庄小（全児童２１人）の５、６年生計６人が２６日、漁船に乗り込み、定置網漁の現場を見学した。水にすむ生物や環境について学ぶ総合学習の一環。帰港後は捕れた魚の選別作業も体験した。 給食の食材にも使われている身近な海の魚や、海で働く漁師の仕事について理解を深めてもらおうと毎年５、６年生を対象に実施している。 児童たちは午前４時４５分ごろ、小坂卓男校長ら教師４人と同町の蒲入漁港を出港。沖合約２キロに仕掛けてある定置網に入った魚の水揚げを見学した。操業会社の藤田克己社長（６１）が同乗し、作業について説明した。 この記事は有料記事です。 残り255文字（全文513文字）

県水産総合センターが発表した漁海況情報によると、５月１日～６月７日の県沿岸のスルメイカの水揚げは１３６０トンで、過去５年平均の８７４トンを大きく上回り、豊漁となっている。一方、５月１８日～２６日の大和堆（たい）周辺の日本海中央部では、スルメイカの分布密度が昨年同時期よりは上回ったものの、過去５年平均の半分… この記事は有料記事です。 残り231文字（全文385文字）

東日本大震災の津波被害に遭った気仙沼市の唐桑半島に、全国から２０～３０代の女性が続々と移住している。半島を意味する英語「ペニンシュラ」とＩターンにちなみ「ペンターン女子」と名乗り、現在は１２人。震災ボランティアをきっかけに移り住んだ先輩の存在に引かれ、新たに「第２世代」も定住した。半島の魅力をブログや会員制交流サイト（ＳＮＳ）で発信、地域を活気づけている。 「お疲れさま！」。気仙沼市中心部にある魚市場そばの「鶴亀食堂」に早朝、店長、根岸えまさん（２８）の声が響くと、漁師や仲買人たちの顔がほころぶ。昨年７月にオープンした店は「震災後、朝早い食堂がなくなり困っていた」と港町で働く人々に重宝されている。 この記事は有料記事です。 残り743文字（全文1046文字）

標津町、根室市、別海町、羅臼町の１市３町が申請していた「鮭（さけ）の聖地の物語～根室海峡一万年の道程（みちのり）～」が１９日、文化庁の日本遺産に認定された。道内では５件目で、サケの恵みを基盤とする暮らしが１万年も営まれた歴史に加え、観光資源としての潜在力も評価された。 「鮭の聖地」の申請は３度目。サケの寒風干し風景や縄文時代以降の遺跡群など３１件の文化財で構成した。日本列島の東門としてサケなどを介した世界との交流、江戸後期のサケ漁場を巡る和人とアイヌの衝突、昭和４０年代の人工ふ化事業など、今に続く暮らしとサケの関わりを知ることができ、日本遺産審査委員会は「自然と人間との闘いと共生が、サケを通してよく分かる」と評価した。 中でもポー川流域にある「標津遺跡群」は、縄文～擦文時代の４４００軒以上の竪穴住居跡が開発を免れて残っている貴重な史跡だ。寒冷地で土壌の腐食が遅いため、住居跡は今もくぼんだ状

まずは名物「貝の籠蒸し」をご覧あれ。日替わりで自慢の新鮮な貝を取り合わせ、豪快に蒸しあげた一品だ。 貝料理 吟（最寄駅：上野駅） 日本酒が100種以上ていねいな仕事の貝料理と楽しみたい 「貝によってそれぞれ最適の時間で蒸し、最後に貝汁を合わせている」から、どれもぷりっとして噛めばじゅわっ。蒸すことで旨みが凝縮している。さらにこちらのテーマのひとつが貝と日本酒のペアリング。全国から選んだ名酒が常時100種類以上。どれも一杯540円、あるいは時間無制限の飲み放題3240円なので、あれこれ試して楽しめるというわけ。天ぷらもよし、刺身もよし。丁寧な仕事の貝料理とぜひ合わせたい。 貝の籠蒸し（１人前） 2700円 豪快な蒸しあがり。これで１人前だ。本日は、岩手広田湾の牡蠣、北海道の白貝、三重の沖シジミ、千葉のナガラミと、内容も貝好きなら垂涎の充実 貝の天麩羅 1058円 さくっと揚がった衣の中に貝の

県但馬水産事務所（香美町）は１１日、沖合底びき網漁による２０１９年度漁期の但馬海域（津居山、柴山、香住、浜坂４港）のホタルイカとベニズワイガニの水揚げ状況を発表した。新型コロナウイルスの影響で、漁獲金額はホタルイカが７億７４３４万円（前年比４７・８％）、ベニズワイガニは９億８７３２万円（同７９・６％）にとどまった。 ホタルイカの１～５月の漁獲量は３３７８トン（同８８・０％）だった。しかし、富山県が豊漁で、但馬の３月の水揚げも好調だったため、１キロあたりの単価が２２９円（同５４・３％）に下落。４月になると、新型コロナの影響で大都市圏の量販店での販売を他県に奪われた。水産事務所は「富山のホタルイカは高級料理店で消費されてきたが、コロナで店が休業した分が量販店に流れ、庶民向けの但馬産ホタルイカが割を食った」と分析… この記事は有料記事です。 残り129文字（全文488文字）