万葉集にも歌われた福島県を代表する風光明媚(めいび)な景勝地、相馬・松川浦。砂州で太平洋と隔てられた細長い入り江は海水浴や潮干狩りなどでにぎわう人気のリゾート地だった。だが、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けただけではなく、東京電力福島第1原発事故により、震災から5年以上がたった今も漁業の本格操業ができない状態が続いている。 ◆尾を引く原発事故 国道6号から細田交差点を曲がって県道38号に入ると、道路わきに真っ青な海が広がる。松川浦を沿うように走ると、青空とのコントラストが気持ち良い穏やかな風景が続く。漁港の先へと進んでいくと、道路や防波堤などの工事も進められていた。復旧が終わった岸壁や防波堤付近には船が行き交い、試験操業が行われていた。 相馬市では、原釜地区や磯辺地区の津波被害が特に大きく、458人の尊い命が失われた。さらに、原発事故で漁業や観光も壊滅的な被害を受けた。 松川浦漁港は