時紀行 愛媛県上島(かみじま)町の弓削(ゆげ)島は、古代から塩作りが盛んだったが、明治時代にいったん途絶えた。塩づくりの伝統と文化を受け継ぎ、地域おこしにつなけようと、島民たちが8年前に復活させた「弓削塩」が今、料理人をうならせている。 朝なぎに 玉藻刈りつつ 夕なぎに 藻塩焼きつつ 古来の製塩法の一つ「藻塩焼き」は、万葉集の長歌にも詠まれた。海藻を焼いて灰を海水に溶かし、土器で炊いて煮詰めて塩を取りだしたとされている。 瀬戸内海に浮かぶ弓削島(愛媛県上島町)は、古墳時代から明治時代まで塩作りが盛んだった。鎌倉時代には、京都・東寺の荘園として塩を納めていた記録が残っている。 8年前、島のNPO法人「弓削の荘(しょう)」が、「弓削塩」として藻塩作りを復活させた。海水4トンを何回かに分けて平釜に入れる。アマモかヒジキを焼かずに加えるところが、古代と違って環境にやさしい。廃材の薪(まき)のやわら