ある産業に属している企業の社長が、その産業の商慣習に違和感を感じ、それを顧客や協力会社の前で表明する。通常なら、あまりお目にかからない光景である。 日本の場合、企業の社長はその産業でずっと働いてきた人が多く、違和感どころか、その産業の商慣習に身も心も染まっていることが多い。自動車メーカーの社長が「日本の車作りはおかしい。販売のやり方も間違っている」と発言したり、建設会社の社長が「助け合いなど不要。談合を廃し、徹底的に競争すべき」と本心から言うことなど、まず考えられない。 ところが7月19日、日本のIT(情報技術)産業に属する有力企業の社長が「日本のIT産業はおかしい」といった趣旨に取れる講演を、1000人近い聴衆の前で行った。発言したのは、日本ユニシスの籾井勝人社長、場所は「IT Japan2006」という講演会であった。IT Japan2006は弊社が主催しており、本欄で取り上げるべきか