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ブックマーク / honz.jp (7)

  • 『北からの世界史』北方世界に歴史があったんだ - HONZ

    まるで歴史ドキュメンタリー番組を観ていたかのような読後感を味わえる一冊だ。 書は、歴史上、ロシア・カナダ・アメリカなど極寒の世界に人々が「何」を求めて遠征していき、「何」を売り買いすることで世界経済と繋がっていったのかをおう歴史書である。歴史書といってももちろん学校で習うような事実の羅列とは全く違う。書を読んでいると、学校で暗記した地域や年代別の世界史が一つの視点を主軸として繋がりあっていくような感覚を味わえる、そんな一冊だ。 著者は、歴史を事実の羅列ではなく、面白い視点から分かりやすく解説することで定評のある宮崎正勝氏。著者の歴史観の特徴は、「文明」「民族」「国家」など従来学校で教えられる切り口ではなく、世界の社会経済がどのように繋がっていたかという「ネットワーク」という切り口から歴史を捉える点である。書でも、世界史の周縁の北方世界が、イスラムやヨーロッパなど世界史の中心となる文明

    『北からの世界史』北方世界に歴史があったんだ - HONZ
  • 『現代中国悪女列伝』 女の武器を使って何が悪いのさ - HONZ

    人間の欲望が丸出しになる政治のゴシップは東西を問わず人を惹きつける。権力闘争、飛び交う札束、そして、男女関係。書には、金欲と情欲が渦巻く世界を泳いだ現代中国を代表する10人の悪女が登場する。 元重慶市党委員会書記の薄熙来ので、夫の力を背景に蓄財をしながら、英国人の愛人を殺害した谷開来。枕営業で国民的人気歌手になりながら、政財界の秘密を知り過ぎてしまったからか現在行方不明の湯燦。もちろん、文革時代の悪女2人、毛沢東のの江青と林彪のの葉群も登場する。共通するのは女性を武器に男の鼻の下をべろべろに伸ばさせて、のし上がっていくところだ。 例えば、女性実業家の李薇。書では「魔性の熟女のチャイナドリーム」として取り上げられているが、のし上がり方が確かに凄い。ベトナムで生まれ、7歳で中国の雲南省に移住。27歳で最初の結婚をするが3年もたたずに離婚。「チャイナドリーム」が始まるのは33歳のとき。

    『現代中国悪女列伝』 女の武器を使って何が悪いのさ - HONZ
    emiyosiki
    emiyosiki 2013/12/10
    書評。悪女→http://youtu.be/A1Z6T4Z2bug
  • 小ネタ付き ひとり通史の おもしろさ 『天才と異才の日本科学史』 - HONZ

    かの歴史家アーノルド・トインビーは、単独で通史を書くことの意義を語っている。というか、語っている、という話を聞いたことがある。通史となると、膨大な資料からなるのであるから、詳しさや正しさにおいて、一人で書くと不十分にならざるをえないかもしれない。それでも、通史にはおもしろさがある。 このほど、そのおもしろさが抜きんでているはそうないだろう。まず、登場人物のとりあげ方である。近代的な意味での日の科学史となると、当然、明治時代に始まるということになる。そこで、冒頭、いきなり出てくるのは福沢諭吉だ。つぎが夏目漱石。もちろん漱石の科学についてではなくて、漱石とロンドンで親しく過ごした池田菊苗と、第五高等学校時代の教え子、寺田寅彦の話へと移っていく。これだけで著者の抜群のセンスがわかろうというものだ。わからん人にはわからんだろうが…。 そして第一章の目玉は北里柴三郎。日が産んだ最高の生物学者

    小ネタ付き ひとり通史の おもしろさ 『天才と異才の日本科学史』 - HONZ
  • 『インダス文明の謎』 大河文明ではないインダス - HONZ

    世界四大文明といえば? 義務教育時代の記憶を掘り起こせば、センター試験で地理を選択した理系の私でも、エジプト文明、メソポタミア文明、黄河文明、そしてインダス文明の名を辛うじてあげられる。この“四大”文明というくくり方には様々な異論もあるようだが(2009年出版の『もういちど読む山川世界史』にも「四大文明」という表現はみられない)、大河に支えられて発達した初期文明としてこれらを認識している方は多いはずだ。 それでは、インダス文明について何か具体的にイメージできるものはあるだろうか。モヘンジョダロ、ハラッパー遺跡以外になにも思いつかなくても無理はない。下の数字はGoogle検索によるヒット件数(2013年11月10日現在)だが、インダス文明は四大文明の中で最低の数字を示す、日人にとって最もマイナーな存在といえるからだ。 エジプト文明:1,930,000 黄河文明:512,000 メソポタミア

    『インダス文明の謎』 大河文明ではないインダス - HONZ
    emiyosiki
    emiyosiki 2013/11/12
  • 『新・ローマ帝国衰亡史』新しい仮説の立て方 - HONZ

    仮説力を磨きたい人にはおススメの。 いわゆる一流の人間とは、真理に近い仮説を立て、それをいち早く検証・実践した人間と言われている。確かにこのことは学問・政治・ビジネスなどあらゆる分野において普遍的であり、仮説力ある人が世の中をリードしていると言っても過言ではない、と言うと少し言い過ぎか。いずれにせよ、一朝一夕に仮説力を磨くのは難しく、よほどの才能がない限り、独学で徐々に学んでいくしかないのが現実である。 仮説力を磨くのにおススメするのは読書を通して仮説力ある人物の仮説・検証プロセスをフォローしてみること。HONZ代表である成毛眞のオールタイムベスト10で紹介されているは、仮説力を鍛えてくれる良書が多く一番のおススメリストであるが、書も京都大学教授が変わった仮説をたてているでおススメだ。 特に書を通して学べるのは、新しい仮説の立て方。物事を少し変わった視点から考察することで定説を覆

    『新・ローマ帝国衰亡史』新しい仮説の立て方 - HONZ
  • 「しかない」ではなく「したほうが良い」 『脳を鍛えるには運動しかない!』 ジョン・J・レイティ - HONZ

    採点:★★★☆☆ 最近めっきり運動しなくなった人におススメ。加速する肥満(書評はこちら)と併せて読むと尚よし 運動といえるのはせいぜい通勤中に駅まで歩くだけ。という人も多いのではないか。 狩猟採集から農耕へと我々の料獲得方法は大きく変わったが、ここまで身体を動かさなくても生きていけるようになったのは、日では、ここ30年程度に過ぎないだろう。つまり、我々がこの環境に向き合う第一世代であり、我々の遺伝子はこの環境へは最適化されていないのだ。書は如何に運動が人間の機能について重要かを様々なデータで明らかにしていく。 そもそも何故運動しなければならないのか? それは、我々の祖先は常に運動しなければならなかったからだ。狩猟採集の時代には、筋力に優れた人間の方がより多くの遺伝子を残すことが可能であったことは想像に難くない。 では、何故運動が脳を鍛えることになるのか? 結論はシンプル。運動によって

    「しかない」ではなく「したほうが良い」 『脳を鍛えるには運動しかない!』 ジョン・J・レイティ - HONZ
  • 『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ

    1995年、東京都国分寺市で長さ340mの幅12mの道路が発掘された。造られた時代は約1300年前の飛鳥時代。そして驚くべきことに、この巨大道路は寸分の狂いもなく一直線に造られていたのである。 その後の調査の結果、現在では、7世紀ごろには日中を張り巡らす巨大道路網が建設されていたことが判明している。東北から九州までの長さ約6300kmもの距離を、最大幅30mで敷設するというまさに巨大道路だ。田中角栄議員立法により実行された1966年の高速道路計画は6500kmであるから、それと同じ規模の距離をより幅広で建設していたことになる。 いったい誰がいつ何のためにそんな巨大プロジェクトを遂行したのか。驚くべきことに、これほど巨大プロジェクトにも関わらず、実はこの国家的規模の大規模事業がなされた理由はまだ正確に分かっていない。文献史料には何も記されていないのである。書はそんな「謎の巨大国家プロジェ

    『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ
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