戦争が、今まさに起ころうとしていました。何十万人という敵軍が国境に迫っていたのです。にも関わらず、まさか敵軍が本当に攻めてきて、戦争になるとは、誰も思いませんでした。いったい何故でしょうか? 今回とりあげるのは「十月戦争」です。以前からお読み下さっている方は、戦車シリーズの外伝だと思って下さい。今回から全三回でお送りして、これが終わったら戦車PART3に移ります。 なぜイスラエルは奇襲を許したのか、がテーマです。新聞やテレビといったメディアが普及し、偵察衛星が宇宙から地上を覗いている時代です。にも関わらず、大戦争が勃発するそのときまで、イスラエルはそれに気がつきませんでした。いったい何故なのでしょうか。 安息日の奇襲 十月戦争はイスラエルとエジプト・シリア同盟軍の戦いであり、日本では「第四次中東戦争」の名で知られています。ほぼ同じレベルの近代兵器をもった国が、ガチンコで戦った戦例として、戦