旅館が国内で減り続けている。厚生労働省「2010年度衛生行政報告」によれば、1980年代に8万軒強でピークを迎えた旅館数であったが、それ以降毎年1400~1900軒が世の中から消え、2011年3月末時点で4万7000軒弱にまで減った。2010年度は前の年度に比べ2060軒も減少し、いよいよ減少幅が2000軒台に乗った。 おそらく状況はもっと深刻と思われる。昨年3月11日に発生した東日本大震災後の影響で、宮城県や福島県の一部の数字が入っていないからだ。地震の直接的な被害だけでなく、全国に波及した消費の自粛、原発等の風評被害が2011年に東日本の多くの旅館に重くのしかかり、おそらく2011年度の減少幅はさらに大きいことが容易に想像される。 長期的な旅館数の減少には構造的な問題がある。バブル経済が崩壊した頃から宿泊客が団体客から個人客へとシフトし、多くの旅館がその変化についていけていないのである