人が怠惰に流れやすいように、会社もわずかな油断から病が忍び寄る。そのことを熟知している盛田昭夫は矢継ぎ早に内部を改革し、また新入社員を歓迎するたびに「強烈な洗礼」でもって一人ひとりに自覚を促し続けた。本誌2012年11月号に開始した人気連載「盛田昭夫 グローバル・リーダーはいかにして生まれたか」、通算第32回(2014年秋に単行本化を予定)。 「出るクイ」を求む! 日本の求人広告の歴史を変えた、とまで言われる2つの広告が、相次いで出稿されたのは1969年の1月と6月のことだった。<「出るクイ」を求む!>と<英語でタンカのきれる(日本)人を求む>である。盛田昭夫のフィロソフィーと言動から生まれたものだが、いずれも朝日新聞朝刊に掲載された。出るクイが打たれる日本で、<「出るクイ」を求む!>のコピー本文は、こう呼び掛けている。 「積極的に何かをやろうとする人は「やりすぎる」と叩かれたり、足をひっ