全国1766自治体のうち地方交付税交付金をもらっていないのは55しかない。「地方の自立なんぞできっこない」と、自治体自身がそう思っている。自助努力によって財政を改善するインセンティブが働かないこの状態を打破するには、法人税率を自主的に決められるようにするなど、抜本的な制度改正が必要だ。 地方に取材に行って自治体の関係者に会った際には、必ず聞くことにしている質問がある。「こちらの自治体は財政的に自立可能だと思いますか」。決まって返ってくるのは「それは無理でしょう」という反応である。 先日も宮城県の重鎮に話を聞いた際、余談で同じ質問をしてみた。答えはやはり「無理」であった。そこで、「仙台伊達藩と言えば、江戸時代には豊かな大藩だったのでは」と問うと、「その通り」と胸を張る。遠い昔の記憶は美化されがちとはいえ、多くの地方自治体で、財政自立が建前だった江戸幕府時代の「お国自慢」を聞かされる。また、大