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村上春樹恐怖症 - 内田樹の研究室
村上春樹の自筆原稿を担当編集者だった安原顯が古書店に売り払った事件について、『文藝春秋』に村上春... 村上春樹の自筆原稿を担当編集者だった安原顯が古書店に売り払った事件について、『文藝春秋』に村上春樹自身がこの「名物」編集者との奇妙なかかわりについて回想している。 私は安原顯という人の書いたものをほとんど読んでいない。 ジャーナリズムの一部では「玄人好み」の評が高かったことを記憶しているが、わずかに読んだ文芸時評やエッセイ類からは「ずいぶん圭角のある人だ」という印象を受けたことしか覚えていない。 その人物と作家とのジャズバー経営時代からの二十五年にわたった交渉を綴った文章の中で、村上春樹は安原顯についてふたつ重要なことを書いている。 私は安原顯という人には興味がないが、彼が体現していた日本の文壇的メンタリティにはいささか興味があるのでここに採録するのである。 ひとつは安原顯が中央公論を口汚く罵倒しながら、サラリーマンをなかなか辞めなかった点について。 「どれほど突っ張っていても、サラリーマ
2021/04/09 リンク